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約10時間前

「みえる」を守れ!大府市子どもの近視予防プロジェクトを大解剖

「ロートは、ハートだ。」
創業125周年を機に、新たなコーポレートスローガンとして掲げるこの言葉には、ロート製薬の想いの中心に、いつも“人”と“心”があることを表しています。「どうしたらお客さまのハートを動かせるだろう?」と問いかけ、挑み続ける情熱こそがロートのハート。その情熱が生み出す力とサイエンスの力で、人や社会、明日の世界をもっと元気にしていく決意が込められています。
そんな想いが息づいているのは、商品だけでなく、社会活動も同じ。人々や地域のために、ロート製薬として何ができるのかを考え、様々な取り組みに挑戦しています。中でも、次世代を担う子どもたちへの活動は大切にしていることの一つ。今回はその一例として、今社会問題とも言われる“子どもの近視”を予防しようと挑む、あるプロジェクトをご紹介します。

ずっと「みえる」を守るために。“健康都市”の先駆的な取り組み。

ニュースなどでご存知の方も多いと思いますが、近年子どもの視力低下が注目されています。令和6年の調査では、小学校で3割以上、中学校で約6割、高等学校ではなんと約7割が、裸眼視力が1.0未満という驚きの現実!この割合は年々増加傾向にあるようです。

<令和6年度学校保健統計より>

視力低下が問題なのは、ただ見えにくいことだけではありません。裸眼視力1.0未満の約8~9割が近視といわれますが、最近の研究では、近視を発症する年齢が早いほど近視が進みやすいこと、強い近視が原因となって失明につながるような眼疾患のリスクが高まることも問題と言われています。実は、未就学児から小学生のいわゆる成長段階にある子どもの頃が最も近視が進みやすいとも言われるのです。

50年以上も前から、一貫して「健康都市」を都市目標に掲げ、市民の健康づくりに取り組んできた愛知県大府市。その「健康都市おおぶ」でさえ、子どもの視力は全国平均を下回り、深刻な課題となっていました。
そこで誕生したのが「大府市子どもの近視予防プロジェクト」。大府市を中心に、名古屋大学大学院医学系研究科眼科学・感覚器障害制御学教室(以降、名古屋大学眼科)、大府市に本社を置く株式会社スギ薬局(以降、スギ薬局)、そしてロート製薬も参加。産官学で、子どもの近視予防の取り組み支援や啓発を行う、先駆的な挑戦が始まりました。

ロート製薬の得意技!? 楽しく目を学ぶアプローチ

『目薬はロート』を自負する私たちは、目に対して熱い想いを持っています。100年以上に渡って時代に合ったアイケアの研究開発を続けていますが、ロート製薬が考えるアイケアは目薬だけではありません。目の異変を放置しないこと、また、異変やトラブルを予防することも、“目の健康を守るための大切なアイケア”の一つ。人生100年時代を迎えた現代は、身体の健康と並行して目の健康、いわゆる「一生涯の見える」を守ることが大変重要だと考えています。そのため、子どもたちの近視予防を目標に掲げるこのプロジェクトに力を注いでいるのです。

プロジェクトが目指すのは、近視を予防し、10年後の大府市内の小学生の視力を全国平均値よりよくすること。そのためには、近視をできるだけ発症させない「近視の予防」はもちろんですが、近視を強い近視状態へ進ませないこと、そして、近視になる年齢をなるべく先に延ばすことも重要だと考えています。そのカギを握るのは、子どもたち自身の毎日の行動を変えていくことです。そこで、近視や自分の目についてもっと“知ってもらい、行動してもらう”ことが大切と、日常生活に取り入れやすい近視予防の習慣や心がけを伝える啓発活動やイベントや取り組みを始めました。

大府市、スギ薬局、名古屋大学眼科、ロート製薬がそれぞれ強みを活かした役割を担う中で、何ができるかを大府市とロート製薬で考え抜き、学校という多くのお子さんに啓発できる環境下で、小学校1年生という親から離れて自立し始めるタイミングでの行動変容を促すことを考えました。それが、出前授業です。お子さんが小学生になって初めて迎える夏休み。夏休み前の7月上旬に、大府市内の全9校の小学一年生を対象に、「目を大切にするってどんなこと」という出前授業を行いました。2023年からスタートしたこの取り組みは、今年で3年目を迎え、総勢3000名近くのお子さんたちに啓発ができました。

この「目の出前授業」は、近視になる理由を解説し、具体的な近視予防の対策を知って実践してもらうのが狙いです。と、説明するのは簡単なのですが、聞いてくれるのが小学1年生なので、どう伝えるかが難しい!一方的に説明するだけでは集中力が続かないし、面白くなければ響かない。そこで、クイズ形式で、目の使い方によって目玉がまん丸じゃなくなることや、目玉が前後方向に伸びた形になると近視になることを説明。それを防ぐために、「①しせいをただそう、②30ぷんに1かいは目をやすめよう、③そとにでよう」という3つの約束を覚えてもらうまでを15分に凝縮。さらに、お子さんが自主的にがんばれるように、約束が守れたらシールを貼るカレンダーを配り、夏休みの宿題感覚で楽しく取り組んでもらいました。


出前授業のほかにも、取り組みはまだまだ!全て書ききれないので、今回は小さなお子さんに大好評の2つのイベントをクローズアップしてご紹介しますね。

目玉工作

紙粘土を使って実物大に近いサイズの目玉を作る目玉工作は、目を身近に感じて大きさを知ってもらえるように、小さなお子さんにも分かりやすいように考えた企画。まん丸に作った目玉が、後ろに伸びるのはどういうことなのかを説明しました。お子さんにとって工作は身近で楽しいもの。ただ説明を聞くだけでなく、手を動かし、触覚も使い、楽しみながら学んだことは心に残りやすいよね。工作に参加してくれたお子さんからは、「目玉って思ったより小さい」、「紙粘土が気持ちいい!」など、楽しい声が上がっていました。

めまもりかみしばい「めめめ」

最近は、近視の低年齢化がより進んでいることもあり、少しでも早い時期から気を付けていただきたくて、未就学児向けの啓発に、紙芝居まで作ってしまいました。主人公の“めめめさん”(=目のキャラクター)がどうしたら喜ぶかを考えるお話を通して、目に良い習慣を学び、出前授業と同じ“3つのお約束”に繋げます。

「定着してきたのがうれしい」。現場を支える担当者だから見えること。

2023年から始めたこれらのイベントは、楽しく目を知り・学べると毎回大盛況!年々取り組みが広く知られるようになって、授業のリクエストをいただいたり、独自にプログラムを開発する学校が出てきたりと、少しずつ進化も見え始めてきました。
その様子を、一緒に活動を進めるロート製薬スタッフと大府市の担当者様に聞きました。

他市から問い合わせが続々。この取り組みを全国へ!

答えてくれたのは、
ロート製薬名古屋営業所 目の啓発担当 ロートネーム:かほちゃん

ー 今年で3年目になるこのプロジェクト、どんな手応えを感じていますか?

「毎年イベントを楽しみにしています」と親御さんからお声かけいただいたり、市の方針として、出前授業が全1年生の必須になったり、全市民対象のイベントとコラボしたり。プロジェクトの取り組みが様々な形で広がって、年々大府市の皆さんの目に対する意識が上がっているように思います。おかげで、他市からの問い合わせも増えているんですよ。

ー 難しいと感じる課題はありますか?

近視予防はお子さんに理解してもらうことが大切ですが、同時に、お子さんが過ごす学校や家庭などの環境も変えていかないと何も進みません。そのため、“見えずらい”体感をしていただいたり、遊びながら学べる「まもり目すごろく」をご提供することで、親御さんや先生の目への意識を高めるよう働きかけています。
さらに、近視の低年齢化を止めたくて、保育士さんにもアプローチ。「めめめ紙しばい」の読み聞かせを通して、未就学児のお子さんにも見える大切さをお伝えしています。

ー ロート製薬らしい取り組みはありますか?

近視予防のための生活習慣とあわせて、症状がある時の具体的な対策も提案しています。目が疲れる・乾く・違和感がある、といった軽い症状はつい放置しがちですが、目薬や洗眼薬という選択肢があることをお知らせしたり、目のケアができるサプリメントもご紹介しています。

ー今後の希望や目標は?

この取り組みが全国に広がっていくことを願っています。そのお手伝いとして、無償で使える資料や紙しばい、すごろくをご用意しています。これからもロート製薬は各地方自治体のお手伝いを進めてまいります。

「楽しく学べると、お子さんにも親御さんにも好評です!」

答えてくださったのは、
大府市健康未来政策課:敲森郁美さん

ー イベントに参加された方の反応を教えてください。

なにより、保護者の方にとても喜ばれています。今は授業でタブレットを使うように、お子さんもデジタル機器の使用は避けられません。「目を大事にして」と親御さんが声をかけてもお子さんたちに届きにくい一方で、イベントには楽しく参加し、しっかり話を聞いてくれると好評です。

ーお子さんたちはどうですか?

みなさん本当に楽しく学んでくれています!数年前に出前授業を受けたお子さんや、紙粘土の目玉工作を体験したお子さんが、「これ前にやった!」と教えてくれることもあり、学びが定着していることを実感します!
また、学校の先生方の間でも「目って大事だよね」という意識が広がってきたように思います。今後は、目のケアが当たり前になると嬉しいですね。

ーお子さんだけでなく大人の“アイフレイル”にも注目されていますよね?

お子さん向けのイベントをしている時に、保護者の方から、「実は自分の目のことも気になっていた」とお聞きしたことがあって。それなら、お子さんの目のために来られる機会を利用して、「あなたの目は大丈夫?」と保護者の方を啓発できたらと考えたのです。家族みんなで目について会話できるような取り組みになるといいなと思っています。

次は大人も!“アイフレイル”予防で、みんなの目を健やかに

今や世界的にも注目されている“子どもの近視”。その課題に立ち向かうべく2022年から挑んできた大府市のプロジェクトが定着してきた一方で、新たに見えてきたのが大人の目の問題。
目を酷使する“働く世代”ほど忙しくて気づきにくいものの、目の病気の多くは、進行しないと自覚症状が現れにくいという現実。40歳を過ぎると目の機能も衰え始めるので、目の健康を保つためには、大人の目の健康意識を上げることも必要と実感したのです。
そこで対象を大人へと広げて、2024年9月に「大府市大人のアイフレイル啓発プロジェクト」を新たに発足。「EYE HEALTH for OBU -はぐくもう!みんなで健やかな目-」を目標に、大府市民皆さんの目の健康を守るための取り組みを始めました。

ロート製薬はこれからも、子どもの近視予防や、加齢による衰えや外的ストレスによって目の機能が低下する“アイフレイル”の啓発、全ての方の目の健康意識向上を目指して、新たな活動を進めます。

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