“痔”というと、患部が特殊な部位だけに恥ずかしいと思いがちですが、実は日本の成人の半数以上がかかるともいわれる※1生活習慣病の一つ。男性に多いイメージがあるものの、実際は性別や年齢に関係なく、痔に悩む女性も少なくありません。中でも、妊娠・出産の時期に痔を発症する人はとても多く、その割合は4割を超えるという報告※2も。
そこで、痔の基礎知識を学ぶシリーズ第3弾では、妊産婦さんゆえのおしり事情を解説!多くの妊産婦さんが痔になってしまう理由をはじめ、予防法や対策もご紹介します。
※1 諸説あります。
※2 Poskus,T.et al:BJOG,13:1666,2014. (海外データ)
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教えてくださったのは、
天藤製薬株式会社 寺田さん
「痔にはボラギノール」でおなじみの天藤製薬でクリエイティブ ブランドマーケティングを担当。天藤製薬は、約100年前に痔疾用新薬第一号として痔の専門薬「ボラギノール」を販売して以来、一貫して痔を見つめ、大学や医療機関と連携しながら、商品とともに痔を正しく知るための情報も発信。2021年にロート製薬のグループ会社となりました。
もともとあった痔が悪化したり、今まで縁がなかったのに発症したり。妊娠・出産の時期は、痔に悩まされやすいといわれています。その割合は想像以上に高く、海外の研究※3では、妊娠初期から出産後1カ月までの間に43.9%もの人が痔を発症するというデータも。
※3 n=280 Poskus, T. et al: BJOG, 13: 1666, 2014. (海外データ)
引用元:ボララボ おしり悩み研究所
ただ、妊娠するとすぐに痔になるというわけではなく、発症時期をみてみると、妊娠初期(~13週6日)は1.6%とごく少数。それが後期(28週0日~)になると61%と発症率がグンと上がるのです。さらに出産後も34.1%と多くの人が発症しているように、妊娠後期から出産直後は特に痔リスクが高いのでご注意を。
※4 n=123、Poskus, T. et al: BJOG, 13: 1666, 2014.(海外データ)
引用元:ボララボ おしり悩み研究所
実は、妊娠・出産時期に痔になりやすいのは、妊婦さんならではの事情ゆえ。避けようがないことなので、誰も無関係ではいられないのです。
事情1:身体の変化
お腹の中で赤ちゃんを育てる妊娠期。だんだん赤ちゃんが大きくなる後期は子宮が大きくなり、その周りの血管を圧迫するようになってきます。すると、おしりの血液循環が悪くなり、痔の大敵ともいえるうっ血した状態を引き起こしやすくなるのです。
事情2:便秘がち
妊娠を維持するために必要な黄体ホルモンは、腸の蠕動運動を抑制する働きがあるため、その分泌量が増える妊娠初期は腸の動きが悪く、便秘になりやすい状態です。中期になるとその傾向は落ち着くものの、後期にはだんだん大きくなる子宮に腸が圧迫されるので、やはり便秘になりやすい状態が続いてしまいます。また、普段より動きにくく、運動不足になりやすいのも便秘になる要因です。とにかく便秘は痔の大敵。強くいきむことでうっ血したり、硬い便が肛門を傷つけることで痔になるリスクが高まります。
事情3:出産によるダメージ
思いっきりいきむ出産は、おしりにも大きな負担がかかります。さらに、裂けた会陰(膣開口部と肛門の間)や切開の傷を縫合することで、肛門周囲の筋肉や神経が傷ついてしまうことも。出産直後も痔を発症しやすい状態です。
引用元:ボララボ おしり悩み研究所
ここまで痔の発症時期をみてきましたが、妊娠・出産時は、患う痔のタイプにも特徴があります。妊産婦さんが患う痔は、きれ痔と併発する人を含めると、約98%※5がいぼ痔です。
※5 n=123、Poskus,T.et al:BJOG,13:1666,2014.(海外データ)
引用元:ボララボ おしり悩み研究所
本来は、痔を患っている人は妊娠前に治療しておくことが望ましいのですが、いぼ痔があっても妊娠は継続でき、ちゃんと出産もできます。痛みに悩まされることもありますが、さまざまなリスクを考えて、基本的には妊娠中は痔を手術することなく、薬で治療を続けるケースが多いようです。
ただし、妊娠中は使えない成分もあるので、自己流で薬を選ぶのはNG。妊娠中におしりに違和感を感じたら、まずは産婦人科の先生に相談してください。痔と上手に付き合って、快適な妊娠生活を続けましょう。
重いお腹でただでさえ普段より自由がきかないのに、痔のつらさまで加わると、妊婦さんの身体にますます負担がかかってしまいます。できることなら痔になりたくないから、無理せずできる予防法を始めましょう。
1.便秘・下痢を防ぐ
赤ちゃんのためにもバランスのいい食事が理想的ですが、特に便秘改善には、食物繊維や発酵食品を積極的に摂るのが効果的。手軽に腸内環境を整えたい人は、サプリメントを試してみるのもいいですね。
「ボラケア®バランスwith乳酸菌」は、ボラギノールの会社が考えた乳酸菌サプリメント。生きて腸まで届く2種類の善玉菌と、善玉菌の増殖を助けるオリゴ糖・食物繊維を配合しています。乱れがちな体内環境を整えることで、スッキリ快調な毎日をサポートしてくれるので、偏った食生活で野菜が不足しがちな人や、ハリ感が気になる人にもおすすめです。
※通院・治療中の方、お薬を服用中の方、妊娠中及び授乳中の方は、お召し上がりになる前に医師とご相談ください。
ボラケア®シリーズについて詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
BORRAオンラインショップ (borra-brand.com)
販売名:ボラケア®バランスwith乳酸菌 健康食品
2.できるだけいきまない
便が出にくいからといって、強く、または長くいきむと肛門に負担がかかり、うっ血や出血につながることも。痔にならないためにも、悪化させないためにも、できるだけいきまないよう意識して。排便時間は3~5分が目安です。
3.トイレを我慢しない
便意を感じたら、我慢せずすぐにトイレへ。我慢すると便が固くなっておしりを傷つけやすくなってしまいます。
4.入浴で血流改善
おしりの血流をよくするためにはお風呂が効果的。湯船につかって、おしりをしっかり温めましょう。
痔の軽い症状には、妊娠中でも使用可能な市販の塗り薬を試すのも一つの手。それでも治りが悪い場合は、産婦人科の先生に相談してください。
ボラギノール®M軟膏は、妊娠中でも使用可能。炎症をやわらげるグリチルレチン酸、痛みやかゆみを鎮めるリドカイン、傷の治りを助けるアラントイン、うっ血の改善を助けるビタミンE酢酸エステルの4種類の有効成分が、痔の痛みやかゆみにすぐれた効果を発揮します。
ボラギノール®Mシリーズについて詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
BORRAオンラインショップ (borra-brand.com)
販売名:ボラギノール® M軟膏 第2類医薬品
また、産後・授乳中は全てのボラギノール®シリーズが使用できます。妊娠中だけでなく、産後も痔に悩む方は多いといわれているので、出産前に準備しておくといいかもしれませんね。
身体の変化が大きい妊娠・出産時期は、誰もが痔になりやすい状態です。とはいえ、できるだけ患いたくないから、お腹の調子を整えたり、血行をよくするよう心掛けて痔を防ぎましょう。少しでも違和感を感じたら、我慢せず早めに対処を。赤ちゃん優先で自分の身体のことを後回しにしがちですが、悪化するとつらいので、先生に相談するのはもちろん、適切な市販薬を使うのもおすすめです。痔と上手く付き合って、妊娠・出産時期を快適に過ごしてくださいね。