コロナ禍で“不要不急の外出は控える”ことに慣れ、リモート勤務も定着した今。以前より運動不足になったと感じる人は多いのではないでしょうか。ご存知のように、健康のためには適度な運動が必要なことはよく知られていますが、運動不足のリスクについてはどうでしょう。
運動不足というと、太る(体重が増える)ことを心配されがちですが、問題は見た目だけではありません。近年、長時間にわたる“座りすぎ”が問題になっているように、身体不活動(身体を動かさないこと)は、喫煙・高血圧に次いで、死因につながる危険因子と考えられています。実際、動かないと筋肉の柔軟性が低下していきますが、ある研究によると、身体が硬い=筋肉の柔軟性が低い人は、血管も硬いという報告も。さらに、動かないことで消費しきれないエネルギーが、皮下脂肪とも内臓脂肪とも異なる“第三の脂肪”となり、そこから重大疾患を引き起こすリスクが高まってしまうのです。
今回は、そんな誰もが注意すべき“第三の脂肪”についてお話しします。
引用元:太るだけ、じゃない!“運動不足”で起きる不調と解消法 | ロート製薬 太陽笑顔fufufu
お尻や太ももにつく皮下脂肪と、メタボでおなじみの胃や腸などにつく内臓脂肪に続いて、近年解明されてきたのが“第三の脂肪”と呼ばれる【異所性脂肪】。心臓や肝臓、筋肉など、本来脂肪がつくはずのない場所に溜まってしまうことから、“ありえない脂肪”、“場違いな脂肪”などとも呼ばれています。
脂肪というと、美と健康の大敵のように思われがちですが、皮下脂肪や内臓脂肪には、体温を維持したり内臓や骨を支える働きがあり、多すぎれば健康に悪影響ですが、実はある程度は必要です。それに対して、異所性脂肪はあまり必要ではなく、むしろ健康リスクを高める厄介な存在なのです。
例えば、異所性脂肪の代表例として挙げられる“脂肪肝”は、肝臓に脂が溜まったフォアグラのような病変で、放置すると肝硬変や肝がんになることも。筋肉の間に脂肪が入り込むと、サシが入った霜降り肉のような状態になって筋肉の質が低下します。また、肝臓と骨格筋に脂肪が溜まると、糖尿病や高血圧のリスクが高まるともいわれています。
脂肪肝や動脈硬化、糖尿病、高血圧など、異所性脂肪によって引き起こされやすい病気は様々ですが、いずれの場合も、その根本に考えられるのは、異所性脂肪が溜まることで筋肉の質が落ち、臓器の機能を低下させること。すると、糖を取り込む力が低下し、糖が血中にあふれて糖尿病を発症し、さらにそれが脂肪肝の原因にも。異所性脂肪が溜まった臓器だけでなく、まわりの臓器の機能にも影響が及んで、様々な病気を発症させる引き金にもなってしまうのです。
重大疾患を引き起こしかねない異所性脂肪は、どうしてつくはずのない臓器に蓄積してしまうのでしょうか。
脂肪肝や糖尿病などの生活習慣病を持つ人は、欧米では肥満が多いのに対して、日本では標準体型の人も多数。その理由として、日本人は欧米人に比べて、血糖値をコントロールしたり、血中の糖を脂肪に変えるインスリンの分泌量が少ないことが関係することが分かってきました。そもそもヒトは、摂取したエネルギーを消費しきれない時、余ったエネルギーを皮下脂肪や内臓脂肪に変えて蓄えるのですが、日本人は欧米人よりも脂肪を蓄える力が弱い、つまり、太りにくいため、余ったエネルギーが行き場を失って、本来つくはずのない場所に異所性脂肪として溜まりやすいと考えられているのです。
このように、異所性脂肪は肥満でなくても溜まってしまうのが厄介なところ。見た目にも分かりにくいので、太っていないからと安心はできません。
現代人はエネルギー過剰といわれることもありますが、エネルギーの量ではなく、エネルギーを燃焼するための運動が足りていないのが問題だという意見も。脂肪対策は、ただ摂取カロリーを調整して体重を減らすだけではなく、異所性脂肪のない質の良い筋肉、つまり、エネルギーや糖を代謝しやすい筋肉を作ることも大切です。良い食習慣に運動習慣を加えて、異所性脂肪のないきれいな身体を目指したいですね。
ただ、「運動といわれても、なにから始めればいいのか…」。そう思う人も多いかもしれませんが、まずは、じっとしている時間を減らすのが第一歩。座りっぱなしにならないよう、1時間ごとに立ち上がってスクワットをするなど、少しでも身体を動かすことから始めましょう。自分のペースで気軽にウォーキングしたり、外に出にくい人はストレッチもおすすめです。5種類のストレッチ(1回10分間)を1日に2回、4週間続けることで動脈硬化が改善したという報告もあるように、簡単な運動でも続けることで健康改善効果が望めそうです。ぜひ毎日の習慣にしてください。
※中高年の女性に次の5種類のストレッチ(1回10分間)を1日に2回、4週間続けてもらい、計測。
引用元:太るだけ、じゃない!“運動不足”で起きる不調と解消法 | ロート製薬 太陽笑顔fufufu
上の調査で取り入れられた5種類のストレッチは、どれも簡単にできるものばかり。気軽に試して、毎日の運動習慣に取り入れてみませんか?
中高齢者のストレッチ運動で、全身の動脈硬化度が改善することがわかっています。5種のストレッチをそれぞれ20〜30秒間、2セットを1日2回行いましょう。
ポイント
膝の裏を伸ばす
片足を前に出し、その膝に両手をのせ、反対の足の膝を軽く曲げて、両手で膝を押さえる。膝の裏が伸びていることを感じながら20~30秒間維持
太もものつけ根を伸ばす
両膝を床につき、片方の足を後ろに伸ばす。両手は曲げたほうの足よりも前に置き、伸ばしたほうの足の太もものつけ根が伸びていることを感じながら20~30秒間維持
太ももの前側&足首を伸ばす
両足を伸ばして座り、片方の足の膝を曲げ、かかとをお尻に近づける。上体を後ろに軽く反らして、太ももの前側と足首が伸びていることを感じながら20~30秒間維持
ふくらはぎを伸ばす
片方の足の膝を立て、反対の足の膝は開いて床につける。立てた足の前に胸をつけ、両手を膝にのせる。立てた足のかかとが床から離れないようにしながら、体重を前にかける。立てた足のふくらはぎが伸びていることを感じながら20~30秒間維持
太ももの裏を伸ばす
両足を伸ばしてあおむけに寝る。片方の足を抱えるようにして太ももをお腹に近づける(反対の足の膝が曲がらないように注意!)。太ももの裏からお尻が伸びていることを感じながら20~30秒間維持
引用元:太るだけ、じゃない!“運動不足”で起きる不調と解消法 | ロート製薬 太陽笑顔fufufu
「もっと手短なメニューがいい」という人は、ココロートパークの「いきいき同好会運動部」の動画もおすすめです。1回5分のエクササイズ動画は、運動が苦手な人も気軽に始められるものばかりなので、ぜひご活用くださいね。
現代のライフスタイルでは誰もが運動不足になりがちですが、“第三の脂肪”を溜めないためにも、一緒に毎日の運動習慣を身に着けましょう!