去年の洋服をとり出し、いざ着てみると、ウエストや腕の部分がちょっと窮屈になっていたという経験、あるのでは? 季節が変わり衣替えをしたときは特に、洋服のサイズの変化も気になるもの。では靴はどうですか? 窮屈になったと感じたことはありませんか? 実は体型だけでなく足も変わっていくのです。
足の変形を感じ始めるのは50歳くらいから。【アーチ】の崩れがひとつの原因として挙げられます。新しい靴を買いたくなるこの季節、足の変化について考えてみませんか?
<目次>
同じサイズなのに、靴が窮屈になってきたなら、足に変化が現れたサイン。それは、長さではなく幅が広がってきているのかもしれません。足にとって重要な【アーチ】が崩れ、土踏まずが地面について足が横にベターっと横に広がってしまうのです。それは、いわゆる偏平足の状態です。
そうなったら足に合うサイズの靴に買い替えればいいのでは?と思われるかもしれませんが、実はこの【アーチ】は非常に重要。たかがアーチの崩れと考えて何も手を打たないでいると、将来自分の足で歩けなくなる可能性もあるのです。
ここから少し、アーチについてご説明しましょう。アーチとは、足の裏の立体構造のこと。3つのアーチからなり、かかとと親指のつけ根を結ぶ【内側の縦アーチ】、かかとと小指のつけ根を結ぶ【外側の縦アーチ】、指のつけ根を結ぶ【横アーチ】で、立体的な形を作っています。
引用元:痛み、魚の目…足のトラブルは原因を知ることが大切!専門家に聞く「足の守り方」|ロート製薬 太陽笑顔fufufu
なぜ、このアーチがあるかというと、長い距離を歩くため。二足歩行をする人間だけが持っている構造です。チンパンジーも二足歩行をしますが、彼らの足は人間の手の形に近く、木の枝などにつかまりやすくなっています。彼らにはアーチがないため長く歩くことはできません。人間は進化の過程で、何かをつかむという機能を捨て、平地を歩くことに特化した結果、アーチが形成されていったと考えられています。このアーチの構造は、地面の衝撃から足を守り、地面を押し出す力を増大させてけり出すことができるので、長く歩けるようになっているのです。アーチが崩れると、守る力もけり出す力も弱まってしまい、歩きにくくなり疲れやすさも表れます。
アーチの崩れは、疲れやすさにとどまらず、さまざまに影響が広がっていきます。例えば親指が“くの字”に曲がる外反母趾もそのひとつ。アーチの崩れに気づかず窮屈な靴を履き続けていると、親指が圧迫され続けるため親指が曲がってしまう可能性があります。ほかには、タコや魚の目なども挙げられます。アーチの崩れによって、同じ部分が靴にぶつかるようになるため、角質が厚くなっていきます。削るなどの治療をして一度はなくなっても、同じところにタコや魚の目ができ続ける場合は、そもそもの原因であるアーチの崩れが改善されていないことが原因のひとつだと考えられます。
そういったトラブルに加え、関節にも影響が出ることが問題です。歩行の不具合をカバーしようと関節で補正するようになり、足首や膝、股関節に負担がかかるようになってしまいます。そうなるとますます歩きにくくなり、やがては歩行困難にまで発展してしまいます。
アーチの崩れが表れやすくなるのは、50歳くらいから。それは、女性ホルモン【エストロゲン】の減少が関係するからだと言われています。エストロゲンには筋肉量の維持や骨密度の低下を防ぐ働きがありますから、急激にエストロゲンが減少する更年期から、その働きが得られにくくなるのです。もちろんそれは足の筋肉や骨も影響を受けます。さらに靭帯や腱もゆるんでしまうことで、アーチを保てなくなるのです。更年期はすべての女性に訪れるもの。アーチの崩れは女性にとって他人事ではありません。
自分のアーチがどうなっているか、気になるところだと思いますが、アーチに体重がかかった状態で判断するため自分では確認することができません。ただ、足に過度な負荷がかかっていないか、チェックする方法があります。いつもはいている靴の裏側を見てみましょう。かかとの外側と、つま先の内側が両足とも減っている場合は問題ありません。しかし、かかと全体や、内側だけ、外側だけが減っている場合は足のどこかに問題がある証拠。アーチの崩れもあるかもしれません。
足の健康は、人生の質を決めるもの。自分の足で歩くことは日々の生活動作の中で、最も基本的な要素です。歩行が困難になってしまうと生きる意欲まで低下し、身体の健康も、心の健康も損なわれてしまいます。人生100年と言われる今、長く生きることをポジティブに捉えられるようしっかり歩ける足をできるだけ長く維持しましょう。
歩行のために重要なアーチを維持すること。そのためには予防が大切です。家の中でも簡単にできる4つのセルフケアをとり入れてみましょう。
引用元:自分の足に関心を。靴選びのポイント&足のセルフケア|ロート製薬 太陽笑顔fufufu
歩きにくさなど症状がある場合は、アーチを支えるためのインソール(靴の中敷き)を使用するとよいでしょう。シューフィッターがいるお店で相談するのもいいですが、ベストは、足を診てくれるクリニックで医療用インソールを作ること。その人の足に合わせて作ることができ、アーチの崩れからくるさまざまな不調の改善が期待できます。健康保険も適用されます。
そして靴選びも大切です。靴は足の健康を守る重要なもの。下で紹介している靴選びのポイントを押えて、自分の足にあったものを選ぶようにしましょう。