忙しい朝、ついつい抜いてしまいがちな「朝ごはん」。
でも実は、その“朝食抜き”が、女性の体に思わぬ影響を与えているかもしれません。
最近の研究では、朝ごはんをきちんと食べることが、ホルモンバランスを整えるだけでなく、「妊娠しやすさ」にも関係していることがわかってきました。
そこで今回は、毎日忙しいあなたにこそ読んでほしい、朝食と女性のカラダの深い関係についてご紹介します。
私たちの体には「体内時計」とよばれる、昼夜の変化に合わせて体内の環境を調整する「生体リズム」の仕組みが備わっています。
実は、この体内時計の周期は約25時間。地球の24時間周期とは約1時間のズレがあるため、毎朝リセットしてあげることが、健康を保つうえでとても大切なのです。
そのリセットに必要なのが「朝の光」と「朝食」。
特に朝食は、体内時計を整えてくれる大切なスイッチです。
これを抜いてしまうと、体のリズムが崩れ、ホルモンの働きや自律神経、内臓の機能にも悪影響を与えてしまうことに。
なかでも、子宮は体内時計の影響を受けやすい臓器のひとつだと言われています。
私たちの体内時計は「時計遺伝子」と呼ばれる遺伝子群によってコントロールされています。
その中でとくに重要なのが「Bmal1(ビーマルワン)」という遺伝子です。これが正常に働くことで、子宮のリズムや機能が整えられています。
そんな「時計遺伝子」のリズムが乱れると、流産や死産の可能性が高くなるという驚きの研究報告があります。
ある実験では、マウスに朝食だけを与えたグループと、夕食だけを与えたグループで子宮の細胞を比較。その結果、朝食だけを与えたマウスには規則的にBmal1が現れていたのに対して、夕食だけを与えたマウスは、子宮におけるBmal1のリズムが乱れてしまうことがわかりました。
さらに、子宮でBmal1が発現しないマウスは、妊娠しても流産や死産してしまうことが確認されたのです。
実は人間でも、自然流産を繰り返す女性の子宮の細胞を調べると、このBmal1の発現が低下していることがわかっています。
Bmal1がうまく働かないと、体が胎児を“異物”と誤認して攻撃してしまうなど、免疫の誤作動が起こるのです。さらに、胎盤が上手く作られないこともあって、結果、流産につながってしまうと考えられています。
体内時計がズレたままだと、卵子の発育をサポートする細胞の働きに悪影響があることもわかっています。
ある研究によると、朝ごはんをきちんと食べている女性は、そうでない人に比べて不妊治療の成功率が約3倍も高いというデータもあるほど。
また、朝ごはんを毎日食べる習慣を続けることで、月経困難症がよくなるケースも多く見られるようです。
とはいえ、いざ「妊娠したい」と思ってから朝食習慣を改めても、朝食欠食による子宮への影響が、完全に回復するとは言い切れません。
だからこそ、若いうちから朝ごはんをしっかり食べる習慣をつけることがとても大切なのです。
体内時計をリセットできるのは、朝食だけ!
昼食や夕食では、その役割は果たせません。
「朝は食欲がない」「忙しくて時間がない」という人も多いかもしれませんが、トースト1枚、バナナ1本だけでも立派な朝食です。まずは“何かひと口”からはじめてみましょう。
健康のためにも、妊娠力を高めるためにも、起きてから1時間以内に朝ごはんを食べることをぜひ習慣にしてみてください。
いかがでしたか?
朝食が体にいいというのはよく知られていますが、それが「妊娠する力」にも関わっていることは、まだあまり知られていません。
自分自身が心がけることはもちろん、ぜひ周りの女性たちにも伝えてあげてください。
朝食は、“未来の健康と命”を支える大事な習慣です。