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2021/11/10

風邪を引きがちな秋冬は、お手軽薬膳で免疫力UPを目指す!

女性にとって秋冬は特に注意すべき季節。手足の冷えや肌の乾燥が気になるのはもちろん、体調を崩しやすくなる人も多いのではないでしょうか?特にこの時期はウイルス性の病気が流行りがち。何度も風邪を引いたり、なかなか病気が治らず長引いたりするなら、“免疫力”が下がっているのかもしれません。
実は、心身の健康を“気血水”のバランスでとらえる漢方医学では、秋冬は“気”が不足すると言われています。“気”が不足すると、病気の元が身体に入りやすくなる、つまり、免疫力が低下した状態になりやすいと考えられているのです。
そんな季節を健やかに乗り切るために、昔から利用されてきた食養生が薬膳です。難しそうに聞こえるかもしれませんが、意外と身近な食材で簡単に作れるんですよ。そこで今回は、秋冬を元気に過ごしていただくために、オススメの薬膳メニューをご紹介します!

不調の原因は、気血水のアンバランス?!

漢方医学では、病気はその人の生活習慣や体質、気血水のバランスの乱れによって起こると考えられています。気血水とは、身体を支える3本の柱のようなもの。“気”は全身の機能を正常に保つエネルギー、“血”は血液とその機能、“水”は血液以外の体液とその機能を意味します。中でも“気”は生命力の源と言われますが、強ければ良いというものではなく、強すぎても弱すぎても不調の原因に。生命活動を健やかに維持するには、三要素がバランス良く、また滞りなく体内を循環することが重要です。

秋冬は“気”が不足する季節

生命エネルギーともいえる重要な“気”ですが、漢方医学では、空気が乾燥し、朝晩や日ごとの寒暖差が激しい秋冬は、その“気”が不足すると考えられています。特に、身体の表面にあり、病気の元(ウイルスや細菌など)の侵入を防ぐ“衛気(えき)”という力が不足することで、風邪やインフルエンザに罹りやすくなると考えられるのです。
ちなみに、「病は気から」ということわざがありますが、ここでいう“気”とは、気持ちのことではなく、この漢方医学に基づいた考えの“気”のこと。“気”が不足したり滞ったりすることで病気になる、という意味なんです。

“気”を補うために摂りたい食材

夏野菜は身体を冷やす、ネギは胃腸の調子を整えるなどと言われるように、食べ物には力があります。その力や種類は様々ですが、風邪やウイルス性の病気に罹りやすくなる秋冬に摂りたいのは“気”を高める食材。不足しがちな“気”を食べ物で補うことで、身体を守る力を高めましょう!

【秋冬にたっぷり摂りたい“気”を補う食材】

牛肉

牛肉
牛肉と一緒に摂るなら、じゃがいもやねぎが◎。
“気”を補いながら、胃腸の働きも整えてくれます。

鯖


秋〜冬に脂がのる真鯖が美味。火を通さないしめ鯖は、
身体を温める大葉を一緒に摂りましょう。

さつまいも

さつまいも
スイーツ作りにぴったり。蒸して、身体を温める
力のある黒蜜をかけると、手軽なスイーツに。

かぼちゃ

かぼちゃ
薄く切ってソテーし、身体を温めるシナモンを
振りかけて。簡単薬膳スイーツの出来上がり!

これらの食材に併せて、臓器の働きを高める食材も一緒に摂るのがオススメです。
多くの動物が冬眠するように、秋冬は人も活動エネルギーを節約する傾向にあるので、臓器の働きも抑え気味。胃腸は“気”を生み出す大切な臓器なので、臓器の働きを高める食材を摂ることで、“気”の不足を防ぐことができるのです。

【臓器の働きを高めて“気”の不足を防ぐ】

舞茸

舞茸
臓器の働きを高め、“気”を補う力があるうれしい食材。
“気”を補う米と合わせた炊き込みご飯が◎。

ブロッコリー

ブロッコリー
“気”を補う力のある牛肉と、臓器の働きを高める
ブロッコリーの炒めものがオススメ。
ダブルの働きで、秋にぴったりな薬膳に!

かぶ

かぶ
おろしてすまし汁に入れる、すり流し汁がオススメ。
胃にもやさしいホッとするおいしさ。

ぶどう

ぶどう
身体を冷やすことも温めることもしない“平性”に分類。
身体に負担がないので、そのままデザートなどに。

秋冬を元気に過ごす、お手軽薬膳レシピ

溝間さおりさん

教えてくれたのは

国際薬膳師、栄養士、野菜ソムリエの資格を持つ
溝間さおりさん

2005年に栄養士としてロート製薬の薬膳レストランに勤務。薬膳の魅力に引き込まれ、国際薬膳師の資格を取得。薬膳レシピの開発や調理、接客などに携わる。独立後は、「より多くの方に薬膳の魅力を知ってもらいたい!薬膳は難しくない!実は身近に薬膳はある!」ということを伝えるために活動中。

昔から医食同源と言われるように、東洋(漢方)医学では「命を育て、健康な身体をつくる根本として、病気を治す薬も食事も源は同じ」と考えられています。薬膳は、その考えに基づいて、不調を予防・改善できる力を持った食材を摂り入れ、健康へ導くための食養生の方法です。
今回は、身体を守る力を高めるお手軽薬膳レシピを公開。先ほどご紹介した“気”を補う食材や、臓器の働きを高める食材がたっぷり摂れますよ。

これ1品で主菜に。乾燥肌でお悩みの方にもオススメ!

鮭と蓮根の山芋トロトログラタン

鮭と蓮根の山芋トロトログラタン

免疫力を高めると同時に、乾燥対策にもなるメニューです。鮭は体を温め、山芋(長芋)やブロッコリーと共に免疫力を高めると言われます。また、蓮根や豆乳は体液を潤して、乾燥による空咳や乾燥肌を予防する働きも。
大気の乾燥や寒さにより、風邪などの感染症にかかりやすくなる秋冬の時期にぴったりです。

●材料(4人分)
鮭…4切
蓮根…200g
ブロッコリー…1/2株
パン粉…適量
塩・胡椒…各少々

<山芋ソース>
長芋…300g
豆乳(無調整)…180g
味噌…35g~
マヨネーズ…大さじ1
醤油…小さじ1~

●作り方

  • 1.鮭は食べやすい大きさに切って、塩・胡椒で下味をつける。
  • 2.蓮根は皮をむいて3mm幅のいちょう切りにし、ブロッコリーは食べやすい大きさに切り分ける。
  • 3.次に山芋ソース作り。ボウルに味噌、マヨネーズ、豆乳を入れてよく混ぜた後、すり下ろした長芋と合わせる。味を見て、醤油で味を調える。
  • 4.フライパンにサラダ油(材料外)適量を熱し、蓮根とブロッコリーをさっと炒める。水50ccを回し入れて蓋をし、5分ほど蒸し炒めする。火が通ったら、一旦取り出す。
  • 5.フライパンをペーパーで拭き取り、サラダ油(材料外)を足して、鮭を皮目を下にして焼く。もう片面も焼き、中まで火が通ったら取り出す。
  • 6.耐熱容器にサラダ油を薄く塗り、④を入れて真ん中に鮭を置く。その上から③をかけ、さらにパン粉をまんべんなく乗せる。220℃に熱したオーブン(トースターでもOK)で5~10分焼く。

たった15分で本格薬膳の味!

きのこの洋風白和え

きのこの洋風白和え

臓器の働きを高め、“気”を補う力も持つ舞茸とブロッコリーを使ったおしゃれな副菜。焼いて仕上げるから、白和えに欠かせない豆腐の水切りが簡単なのもうれしいですね。バジルの香りにお箸が進むメニューです。
先にご紹介した「鮭と蓮根の山芋トロトログラタン」で余ったブロッコリーも使えますね。

●材料(4人分)
舞茸…1パック
エリンギ…1/2パック
ブロッコリー…1/3株
ベーコン…1枚
サラダ油…大さじ1
塩…2つまみ
胡椒…少々
酒…大さじ1
ドライバジル…少々

<和え衣>
木綿豆腐…200g
【A】
マヨネーズ…大さじ1
醤油…小さじ2
砂糖…小さじ1
白すり胡麻…大さじ1と1/2
おろし生姜※…1センチ(1g)
おろしにんにく※…1センチ(1g)
※どちらもチューブのもの

●作り方

  • 1.まずは和え衣から。木綿豆腐はキッチンペーパーで水気を拭き取ってボウルに入れ、スプーンなどで細かく潰し、【A】を入れて混ぜる。
  • 2.舞茸は石づきを切って細かく割き、エリンギは石づきを切って食べやすい大きさに切る。ブロッコリーは小さ目の小房にわける。
  • 3.ベーコンを細切りにし、アルミホイルを敷いた天板に広げ、トースター(強もしくは740~1000W)で2〜3分焼く。
  • 4.フライパンにサラダ油を熱し②を入れ、酒、塩、胡椒を振ってさっと炒め、蓋をして中火で4〜5分蒸し焼きにする。全体に火が通ったら一旦火を止め、材料を片側に寄せてキッチンペーパーなどで水気を吸い取る。
  • 5.④に①を加えて、弱火でさっと炒め水気を飛ばす。味見をして、必要なら塩少々(分量外)で味を調える。
  • 6.器に盛りつけドライバジルを振り、③をのせる。

今回ご紹介した2つの薬膳レシピは、スーパーなどで簡単に手に入る材料を使っているうえ、短時間でできる手軽さが魅力です。日常の食事に取り入れながら、免疫力アップを目指し、今年の秋冬を健やかにお過ごしくださいね。

・出典元:太陽笑顔fufufu