季節を問わず罹る風邪。「これぐらいの風邪では休めない」とついつい無理をしていませんか?風邪は鼻や喉などの上気道にウイルスが感染した状態を指します。原因となるウイルスは200種類以上と言われていますが、どれも症状は軽微なのも特長。主な症状は喉の痛み、咳、くしゃみ、鼻水などで症状の進行はゆるく、通常は微熱(37〜38度)で済みます。
今回、風邪をひいた時の正しい対処法について、感染症が専門の岸田直樹先生に、聞いてみました。これまで何気なく対処していたことが、実は間違えていた?ということもあるかもしれませんよ。
岸田直樹 先生(きしだ なおき)
(一社)Sapporo Medical Academy 代表理事
総合診療医・感染症コンサルタント
2002年旭川医科大学卒業。手稲渓仁会病院総合内科・感染症科などを経て、2014年より現職。2017年より北海道科学大学薬学部客員教授(薬学臨床推論)就任。著書に『誰も教えてくれなかった「風邪」の診かた 感染症診療12の戦略』(医学書院)などがある
風邪をひいたら、すぐに病院へ?
自宅で安静にするのが一番です。
実は風邪の原因となるウイルスに対する薬はなく、病院に行っても風邪自体が治るわけではありません。通常の風邪であれば数日で自然に治ると言われています。体調が悪い中、病院へ行き診察を待つことでの身体への負担や、風邪を人にうつすリスクを考えると、自宅で安静にしているのが一番。但し、高熱が続く、関節痛や筋肉痛がある、などといった場合は、風邪ではない可能性も。早めに検査を受けましょう。
風邪の時は無理にでも食べた方が良い?
無理に食べなくても大丈夫です。
風邪をひいて調子が悪くなると、食欲がなくなりますよね。そんな時は無理をして食べる必要はないですよ。胃腸の調子も良くないため、無理に食べるとかえって消化されにくくなります。スープや、経口補水液を摂るようにしてください。
風邪は薬を飲めば早く治る?
風邪薬は症状を和らげるものです。
発熱・咳・鼻水などの風邪によって起こるさまざまな症状を和らげる働きをするのが、総合感冒薬です。大事なことは、ウイルスと戦うための自分の免疫力を下げないこと。まずは睡眠を十分にとって、ゆっくり休むことを心がけましょう。その上で、身体の調子を整える漢方薬や、つらい症状を和らげる総合感冒薬を利用してください。
身体を冷やすと風邪を引きやすい?
身体が冷えることと、風邪は関係がないです。
寒いところや薄着でいると、風邪をひくと言う方もいますが、寒さや冷えで風邪をひきやすくなるということはありません。一方で冬に風邪をひく人が多いのは、冬は気温や湿度が低く、インフルエンザウイルスなどの感染力を保持しやすい環境だからです。湿度は室内で快適に過ごせる目安である40~60%に保ちましょう。また、ウイルスはヒトからヒトに感染するため、クリスマスや年末年始・初詣など、人が集まる機会が多いのも要因のひとつ。できるだけ人混みを避けるか、マスクを上手に利用しましょう。
風邪にはマスクをつけていれば十分?
マスクだけでなく手洗いも重要です。
風邪予防に最も効果があるのは手洗いです。予防はもちろん、周りにウイルスを撒き散らさないためにもマスクは重要。また、顔にマスクをフィットさせて、隙間からウイルスが侵入することを防ぐことも大事です。不織布マスクなら、ワイヤーを鼻の形にフィットさせ、隙間なく鼻と口を覆ってください。
風邪は軽い症状が多いのも事実ですが、無理をしてこじらせて、かえって長引いてしまうことも。ウイルスによる感染症なので、外出すると人にうつすことにもなりかねませんので、症状が治まるまで自宅で安静に過ごしましょう。