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約12時間前

健康のあたらしい常識 “プレコンセプションケア” セミナーレポート

2025年11月20日、ロート製薬がサポーターを務める一般財団法人 日本女性財団主催の第4回 東京リアルプラットフォーム連絡会にて、「健康のあたらしい常識 “プレコンセプションケア”」をテーマにしたセミナー&パネルディスカッションが行われました。

今の自分、未来の自分、そして大切な家族のために知っておきたい、性や妊娠に関する正しい知識。妊娠を考えている人はもちろん、そうでない人にとっても、ライフステージやライフプランに応じた健康づくりに役立つ考え方として、“プレコンセプションケア”は今、大きな注目を集めています。

本記事では、そんなプレコンセプションケアの考え方を、第一線で活躍する先生方による講演内容をもとに、わかりやすくお伝えします。

お話いただいた先生は

産婦人科医 中島由美子先生

産婦人科医 中島由美子先生
(一般財団法人 日本女性財団 フェムシップドクター/下平レディスクリニック院長)

プレコンセプションケアとは

プレコンセプションケアとは、性別を問わず、適切な時期に、性や健康に関する正しい知識を持ち、妊娠・出産を含めたライフデザイン(将来設計)や将来の健康を考えて健康管理を行う取り組みのことです。

【プレコンセプションケアの目的】

  • ・月経、妊娠、出産などについて、10代から正しい知識を持つこと
  • ・若い世代の男女が、今も、将来も、より健康になること
  • ・より健全な妊娠・出産のチャンスを増やし、次世代の子どもたちをより健康にすること

― なぜプレコンセプションケアが必要なの?

妊娠前や妊娠・出産期の健康状態、生活習慣は、妊娠・出産時の異常につながるだけでなく、生まれてくる子どものその後の健康にも影響を及ぼす可能性があるからです。

例えば、妊娠前や妊娠中に痩せすぎていると、低出生体重児の出産につながりやすいことをご存じでしょうか。出生時の体重が低いほど、赤ちゃんには健康へのさまざまリスクがあるとされており、成人後に糖尿病や高血圧などの生活習慣病(メタボリックシンドローム)を発症するリスクが高まるという研究報告もあります。

日本では、医療の発展によって妊産婦の死亡率や周産期死亡率は改善している一方で、低出生体重児の割合は増加傾向にあります。2015年の報告によると、日本の出産数に占める低出生体重児の割合は9.4%にも上り、諸外国と比較しても高い割合であると問題視されています。

低出生体重児が増えている背景にはさまざまな要因がありますが、女性のキャリア形成や晩婚化に伴う出産年齢の高齢化に加え、BMI18.5未満の痩せすぎの女性が多いことも、大きな要因のひとつです。

このような現状の中、妊娠を迎える前から自分の健康や生活習慣を見つめ直す「プレコンセプションケア」についてまずは知ってもらうことが、将来の自分と次の世代の健康を守る第一歩になると考えられています。

※:生まれた時の体重が2500g未満の赤ちゃんのこと

― 日本のヘルスリテラシーは低い?

さらに、諸外国と比べると、日本はヘルスリテラシーが十分に高いとは言えない状況にあることも、課題の一つとされています。

まずは、ご自身の意識や行動をチェックしてみましょう。

チェックしてみよう!

  • ⬜︎ 葉酸をはじめ、必要に応じたサプリメントを摂取している
  • ⬜︎ HPVワクチンを接種済、または接種を予定している
  • ⬜︎ がん検診を定期的に受けている
  • ⬜︎ 避妊や性感染症予防など、女性の健康を自分で守る意識を持っている
  • ⬜︎ 喫煙していない
  • ⬜︎ 月経にまつわる不調に目を向け、適切に対処している

実はこのチェックリストに挙げた項目は、日本の性と生殖に関する教育や情報提供が、国際的な水準に十分達していないと指摘されている分野でもあります。

そのため、学校教育や医療、保健分野、企業など、社会全体からの継続的な働きかけを通じて、正しい知識を身につけ、ヘルスリテラシーを高めていくことが求められています。

― 女性だけでなく、男性も。妊娠を望む人も、望まない人も。

ここまで、女性の健康が妊娠・出産や子どもに影響を及ぼすことを中心にお伝えしてきましたが、プレコンセプションケアは決して女性だけのものではありません。男性にとっても、他人事ではない重要なテーマです。

年齢や肥満、喫煙、環境要因、メンタルヘルスなど、男性の健康に関わるさまざまな要因もまた、妊娠・出産の経過や、生まれてくる子どもの健康に影響を与えることがわかっています。

また、プレコンセプションケアは「今すぐ妊娠を考えている人」だけのための考え方ではありません。将来の可能性を見据える人はもちろん、妊娠を望まない選択をしている人にとっても、自分の体や健康について正しく知り、主体的に向き合うことは、よりよく生きるための土台となります。

性別やライフプランにかかわらず、一人ひとりが自分の健康を大切にすること。それこそが、プレコンセプションケアの目指す姿なのです。

「自分ごと」にできるかが鍵!プレコンセプションケアに関するアンケート調査からわかった実態

東京女子大学の一般学生と東京女子医科大学看護学部の学生(一部院生)にプレコンセプションケアに関するアンケート調査が行われました。
その調査結果の一部がこちらです。比較してみると、次のような違いが見えてきます。

Q.「プレコンセプションケア」という言葉を知っていますか?

はい 5%

一般大学生
(東京女子大学)

はい 93%

看護学部学生
(東京女子医科大学)

Q.将来の妊娠に向けて健康管理をしたことはありますか?

はい 4%

一般大学生
(東京女子大学)

はい 35%

看護学部学生
(東京女子医科大学)

Q.今後、プレコンセプションケアについてもっと知りたいと思いますか?

はい 67%

一般大学生
(東京女子大学)

はい 93%

看護学部学生
(東京女子医科大学)

まず、一般大学生と医療教育を受けている看護学部の学生では、「プレコンセプションケア」の認知度に大きな差があることがわかります。

さらに、知識の差は行動にも表れていました。
「現在、健康のために実践していることを教えてください(複数回答可)」という設問に対する回答を見てください。

特に注目したいのが、「HPVワクチンを接種した」と回答した人の割合です。看護学部学生では58%と半数以上が摂取済みでした。これは、日本全体のHPVワクチン接種率(約15%)と比較しても、非常に高い結果です。
同様に、「風疹ワクチンを接種した、または抗体があると知っている」という割合も看護学部学生の場合46%と高い結果でした。

これらの結果から、正しい知識に触れる機会があるかどうかが、健康行動の実践に大きく影響している可能性がうかがえます。

若者にとって、妊娠・出産はまだまだ先のことと感じられがちですが、正しい知識を持ち、「自分のウェルビーイングにつながる健康管理」として“自分ごと”で考えられるかどうかが、行動につながる鍵になりそうです。

■一般大学生アンケート調査

東京女子大学(2025年7月実施)
調査対象:244名(女性:240名、男性及び無回答:4名)、18-22歳(平均19.0歳)
実施:東京女子大学 VERA祭実行委員会 広報部
監修:下平レディスクリニック 院長 産婦人科医 中島由美子医師、一般社団法人 ハーブブレンドスタイル協会 飯田智子氏

■看護学部生アンケート調査

東京女子医科大学(2025年10-11月実施)
調査対象:57名(女性:57名)、19-23歳(平均20.2歳)
実施:一般財団法人 日本女性財団
協力:東京女子医科大学 看護学部 教授 小川久貴子先生、一般社団法人 ハーブブレンドスタイル協会
監修:下平レディスクリニック 院長 産婦人科医 中島由美子医師

正しい知識を持って、自分の人生を選び取っていくために

プレコンセプションケアは、妊娠や出産のためだけのものではありません。
正しい知識を持ち、自分の体や健康と向き合うことは、これからの生き方や人生の選択肢を広げることにもつながります。

まずは小さな一歩からで十分です。

  • ・HPVワクチンについて、正しい情報を調べてみる
  • ・乳がん検診や子宮頸がん検診を定期的に受ける
  • ・友人やパートナーと、妊娠や出産、将来の子どもについて話してみる

こうした行動も、立派なプレコンセプションケアの実践です。

今を大切に生き、未来を自分らしく選び取るために。
この機会に、ぜひプレコンセプションケアを「自分ごと」として考えてみてください。

※日本女性財団主催プラットフォーム連絡会とは

日本女性財団とは女性の生涯のWell-beingの実現に向けて、医療・福祉・政治・経済が連携し、国政に声を届ける団体です。
プラットフォーム連絡会は、各地域において健康課題や困窮する女性を支援するために活躍する医療、福祉、行政、経済、政治の顔の見える関係づくりと支援対象者のサポートをよりスムーズにするための仕組み作りで、第4回目となる東京リアルプラットフォーム連絡会は、東京都・一般社団法人 東京産婦人科医会 後援、東京女子医科大学の協力のもと開催されました。

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