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2023/09/20

最新研究レポ!たるみを防ぐ“抗力”の根源、“吊り上げエラスチン”とは?

2022年にロート製薬は、ほんの小さな組織ながら自らがハリを持つ、構造も機能性も生きた皮膚に限りなく近い人工皮膚を開発。そこから肌の構造研究が格段に進み、肌を横に引っ張る力=“張力”がハリの要であることを発見しました。
そして今新たに、肌の縦方向に押し戻す力=“抗力”を解明。コラーゲンとともに、肌のハリ・弾力のもとといわれるエラスチンの中でも、限られた一部の線維が、重力に抗って元の形を保とうとする“抗力”を担っていることを発見したのです。その線維が、たるみ予防のカギ、“吊り上げエラスチン”です!
今回は、肌を面ではなく、立体的に捉えたからこそ分かった新事実、“吊り上げエラスチン”について、研究開発を行ったスタッフが詳しく解説します。

語ってくれたのは、

研究開発担当 ロートネーム:きむしゅん

研究開発担当 ロートネーム:きむしゅん

研究開発担当 ロートネーム:あかり

研究開発担当 ロートネーム:あかり

たるみを防ぐ“抗力”の根源、“吊り上げエラスチン”とは?

研究開発担当 ロートネーム:きむしゅん

研究開発担当 ロートネーム:きむしゅん

肌のハリ・弾力のケアを考える時、多くの方がコラーゲンをイメージされるのではないでしょうか。もちろんコラーゲンはハリケアに大切な存在ですが、ロート製薬はエラスチンにも着目し、2000年代からいち早く研究開発を続けてきました。
あまりなじみがないかもしれませんが、エラスチンは肌のゆるみと深い関係がある、真皮層の中の線維です。というと、コラーゲンと似ているように思えるものの、その性質や働きは大きく異なります。
実はコラーゲンはとても硬く、伸縮性の少ない丈夫な線維。真皮層の中にある線維芽細胞にピンッと引っ張られることで、トランポリンのような張力=ハリ(横向きの力)をもたらしています。
一方、エラスチンはゴムのような伸縮性を持つのが特徴。肌が押されたり下向きに引っ張られても、元の形を維持しようとする力=弾力(縦向きの力)を生み出しているのです。

ゴムのような伸縮性

さらにエラスチンには種類があって、真皮の奥のほうで水平方向に伸びている「エラウニン線維」と、表皮近くで垂直方向に伸びている「オキシタラン線維」という2つの層に分かれています。ロート製薬が注目したのは、表皮近くの「オキシタラン線維」。表皮角化細胞と線維芽細胞によって生まれるこの線維は、表皮(基底膜)から肌の奥へと張り巡らされ、まるで真皮を吊り上げるようにつながっているのです。この線維こそが真皮を支えている、つまり重力によるたるみを防いでいる“吊り上げエラスチン”です!

吊り上げエラスチン

“吊り上げエラスチン”と肌老化の深い関係

先ほどご説明したように、“吊り上げエラスチン”があるのは、真皮層の中でも表皮のすぐ下。紫外線が届きやすいため、分解されて消失しがちです。“吊り上げエラスチン”が消えるということは、真皮を吊り上げていた線維が、表皮につながる先のほうで切れてしまうということ。重力に抗い、支えていた力がなくなるのですから、肌は力なくたるんでしまいます。さらに、“吊り上げエラスチン”は、加齢によって減少するという報告も。
「肌を支える大切な存在なのに、ダメージを受けやすく不足しやすいから、毎日のお手入れでケアできたら」。そう考えて、“吊り上げエラスチン”をケアする方法を探しました。

吊り上げエラスチン

不足しやすいから、増やす・強化する方法を模索

「肌の弾力を保つために欠かせない“吊り上げエラスチン”をどうすれば守れるのか。さらには、どうすれば増やせるのか」。ロート製薬は以前から、この課題に向けて研究開発を進めてきました。
その第一弾として、真皮に働きかけてエラスチンの産生を促し分解を抑制する新成分、エラスグロウ、エラスリッチ、エラスプロを独自に開発しました。
そして、“吊り上げエラスチン”を発見した今回は、“吊り上げエラスチン”が真皮を吊り上げ、表皮とつながる接点に着目。エラスチンの構成成分を作る表皮細胞の働きを高めることを目指したのです。
エラスチン線維を形作るためには、「フィブリリン-1」と「フィブリン-5」という2つのタンパク質が必要だということ。そこで、表皮細胞が「フィブリリン-1」と「フィブリン-5」をより多く作るようアプローチする成分を地道に探していきました。

「フィブリリン-1」と「フィブリン-5」

研究開発担当 ロートネーム:あかり

研究開発担当 ロートネーム:あかり

まずは膨大なリストの中から、「フィブリリン-1」と「フィブリン-5」の産生を高める可能性のある成分をリストアップ。そのすべての成分一つひとつについて細胞を使って試験し、最終的に検討した成分は120種類以上!数えきれないほどの試験を繰り返して、タチジャコウソウ花/葉エキス、イザヨイバラエキス、メリアアザジラクタ葉エキスという3つの植物由来エキスに行き着いたのです。
この3つの複合成分が、基底膜に接する表皮細胞に働きかけて、「フィブリリン-1」と「フィブリン-5」の発現を高めることを、ロート製薬は発見しました。

タチジャコウソウ花/葉エキス、イザヨイバラエキス、メリアアザジラクタ葉エキス

また、テトラペプチド-5、ガゴメエキス、アスパラコブシスアルマタエキスといった成分が、真皮に働きかけてエラスチンの産生を促し、分解を抑制することも確認しています。

横には“張力”、縦には“抗力”。全方位からエイジングにアプローチ!

研究開発担当 ロートネーム:きむしゅん

研究開発担当 ロートネーム:きむしゅん

肌のハリと弾力はひとくくりにされがちですが、ロート製薬は分けて考えています。
例えば、むくんだ肌は、水分が溜まって肌自体は膨らんで張っているものの、ブヨブヨとして弾力のない状態ですよね。ハリがあっても弾力がないこともあるし、逆の場合もあることから、それぞれが別の力であることが分かります。ただし、どちらの力が欠けても肌の力は支えられません。ハリがないと肌表面がシワっぽくしぼみ、弾力がないと肌が垂れ下がるようにたるむ。だからこそ、たるみ・ゆるみを防ぐためには、張力と抗力どちらのケアも欠かせないと私は考えています。

【ハリをもたらす横方向の力=張力を高めるために】

・シャクヤクエキスが線維芽細胞に働きかけ、ハリスイッチを入れる成分の産生を促進
・肌に直接張力をかける物理的なアプローチでハリUP

【弾力をもたらす縦方向の力=抗力を高めるために】

・今回解明した3種の植物由来エキスが“吊り上げエラスチン”を強化

ロート製薬は最新の2つの知見を応用して、より効果の高いエイジングケアを実現するよう、さらなる研究を続けていきたいと思います。これからのロート製薬のスキンケアにご期待ください!

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