記事
2025/10/15

最新研究レポ!新たなハリのメカニズム『血管再生』とは!?

年齢を重ねるごとに気になる、肌のハリや弾力。
ピンッとハリのある、密度の高い肌を取り戻すためには、どうしたら良いのでしょうか。

そんな中、人工皮膚を用いたロート製薬の最新の研究からわかったのは、肌のハリを支えるカギは、真皮の中に張り巡らされた「血管」と、コラーゲンを作る細胞の「多様性」にあるということ。
血管の再生によってコラーゲン合成細胞の機能が回復し、肌のハリと弾力を取り戻す!
そんなワクワクする新知見が明らかになりました。

本記事では、肌のハリを支える仕組みから、血管再生の効果、そしてスキンケアへの応用まで、研究開発担当がわかりやすく解説します。

語ってくれたのは、

研究開発担当 ロートネーム:きむしゅん

研究開発担当 ロートネーム:きむしゅん

柔らかさと弾力を両立する“超密度なハリ構造”

私たちの肌のハリ・弾力は、真皮層にあるコラーゲンやエラスチン線維によって支えられています。
肌をマットレスに例えると、真皮の浅い層(乳頭層)は、ふんわりとした綿のように細い線維と毛細血管が張り巡らされた、柔らかい部分。一方、真皮の深い層(網状層)は、網のように太い線維と血管が絡み合った丈夫な部分です。

この真皮の2層構造血管の働きによって、肌は柔らかさと弾力を両立した“超密度なハリ構造”を保っているのです。

コラーゲン合成細胞には“多様性”がある!

これまで、コラーゲンやエラスチンを生み出す細胞は「線維芽細胞」としてひとまとめに考えられてきました。
しかし近年の技術革新で、線維芽細胞にもさまざまな種類があり、それぞれ異なる役割を担う“多様性”があることが明らかになってきました。

【役割が異なるコラーゲン合成細胞】

【役割が異なるコラーゲン合成細胞】

さらに、肌の老化研究から新たな事実も見えてきました。
老化が進むと、コラーゲン合成細胞はその“多様性”を失い、次第に同じような性質へと変化。その結果、皮膚の構造は単純化し、ハリが低下してしまうのです。

そこで私たちは、ハリ・弾力ケアには、単にコラーゲン量を増やすだけでなく、“コラーゲンを作る細胞そのものの力”を守ることが重要だと考え、研究を進めました。

【加齢により変化するコラーゲン合成細胞】

【加齢により変化するコラーゲン合成細胞】

新知見!『血管再生』によりコラーゲン合成細胞の多様性が回復

どうすればコラーゲン合成細胞の機能と多様性を取り戻せるのか。
“超密度なハリ構造”を再生するために、私たちが注目したのが真皮層の血管でした。
研究の結果、カギは『血管再生』にあることを発見したのです!

ロート製薬は、生きたヒトの皮膚に近い研究ができる技術として「人工皮膚」を開発し、活用しています。

しかし、従来の真皮と表皮の2層型の人工皮膚では、生きているヒトの肌のような弾力はなく、柔らかいものでした。弾力に必要な要素が足りていなかったのです。

私たちは、年齢を重ねると血管が減ることに注目し、血管が肌のハリにかかわっているのではないかと考えました。そこで、血管を再生した人工皮膚を新たに作り、血管と肌の弾力の関係を研究しました。

張力均衡を再現した人工皮膚モデル(中央の白い部分)
(表面は角質化した表皮層、内部は線維芽細胞からなる真皮層など6層の構造を持つ)

その結果、血管の再生によりコラーゲン合成細胞の多様性が回復することがわかりました。

また、血管が再生され、コラーゲン合成細胞の多様性が回復することにより、人工皮膚のコラーゲン合成量は大幅に増加。柔らかく緩んだ従来の人工皮膚と比べると、「触れて実感できる」ほど、形状記憶するようなピンッとした弾力がありました。

血管がある人工皮膚でコラーゲン合成細胞の多様性が回復する理由はいくつか考えられますが、ひとつのポイントは、血管の細胞とコラーゲン合成細胞が“お互いにやりとり”すること。このコミュニケーションが、多様性を保つために大切だと考えています。

『血管再生』を促す新成分を発見!

肌のハリ・弾力のカギが真皮上部の血管にあることがわかりました。しかし、この血管は加齢や生活習慣の乱れ、生活習慣病、ストレスなど、さまざまな理由で減ってしまいます。

ハリ・弾力ケアを考えると、予防だけでなく、失われた血管を再生して回復させたい!
そこで私たちは、血管再生を促す新成分を探し出すことにしました。

約400種類もの成分リストから研究を重ね、ついに発見したのが、「トゲキリンサイ/ミツイシコンブ/ウスバアオノリエキス」という成分です。

実験の結果、この成分を加えることで血管を再生するのに重要な「血管内皮細胞」が約140%増加することを確認しました。
血管内皮細胞が増えることは、血管再生の第一歩となる大切な効果です。肌のハリ・弾力ケアを目指す、新発想のアプローチ技術として応用が期待できます。

研究開発担当からのメッセージ

研究開発担当 ロートネーム:きむしゅん

研究開発担当 ロートネーム:きむしゅん

私たちは皮膚科学研究を通して、「グロウスキン」を目指しています。
「グロウスキン」とは、なめらかで均一、ハリとうるおいがあり、耐久性のある健康的な肌のことです。

重力によるたるみやさまざまなストレスに負けない耐久性のある肌は、美しさだけでなく肌の“耐用年数”を伸ばすことにもつながると考えています。

人生百年時代ともいわれる中で、肌を育て続け、少しでも長くトラブルや悩みのない肌でいていただけるよう、これからも皮膚科学研究と製品開発を続けてまいります。
今後もロート製薬の新たなスキンケア技術にぜひご注目ください!

今月のおすすめ