「洗顔後は化粧水で水分を与えて、乳液やクリームでフタをする」————言わずと知れたスキンケアの王道ステップですが、美容情報があふれ、SNSが発達した最近は、様々な持論を唱える人も増えてきました。中でも多くの話題に挙がる“乳液”については、「乳液は必要ない」、「乳液は肌によくない」なんて誤解を招くような極端な意見も。そんなウワサが影響してか、お手入れの中でも省略されやすい乳液ですが、実は知れば知るほど使いたくなる便利なアイテムなんです。 そこで今回はスキンケアの基本ともいうべき乳液をクローズアップ!「乳液って必要?」といった根本的疑問から肌に合った乳液の選び方までまとめて解決。最後に、ビューティアドバイザーが実践する、お手入れ効果を高めるつけ方もご紹介します!
この人に聞きました
研究員 ロートネーム:かよさん
まずは、スキンケアそれぞれの役割をご説明しますね。
以上が主なスキンケアアイテムの役割です。化粧水だけでは、時間が経過するとせっかく補った水分が蒸発してしまうので、潤いを守る皮脂のかわりに、油分を含む乳液やクリームが必要なのです。
必ず乳液とクリームの両方を使う必要がある訳ではなく、逆に、両方使ってはいけない訳でもありません。大切なのは、自分の肌状態に合わせて使い分けることです。
乳液とクリームの違いは油分です。乳液は油分の量が少なく、特に固形の油分の比率が少ないため、みずみずしく肌によくなじみます。それに対してクリームは、油分全体の量が多く、固形の油分の比率も高いため、より保湿効果が高いのが特徴です。
このような特徴を考えて、ベタつきやすい肌やニキビができやすい肌の方は乳液だけ、乾燥しやすい肌や年齢肌が気になる方は肌の保湿力(皮脂分泌量)が低下している可能性が考えられるので、油分をしっかり補うように乳液とクリームを重ねて使うお手入れがオススメです。また、夏は乳液のみ、冬はクリームを併用と、季節で使い分けてもいいですね。わかりにくければ、化粧水の後に乳液をつけてみて、肌の様子をじっくり確かめ、必要に応じてクリームを重ねてはいかがでしょうか?
肌に水分や保湿成分、油分を補給して保湿することで、水分の蒸発を防ぐとともに、外部の刺激から肌を守るバリア機能を維持・回復させるなど、肌を健やかに保つ役割を担います。また、水分と油分をバランスよく含み、皮脂に近い役割を果たすので、肌なじみがよく、肌が柔らかに整うのも乳液ならではのうれしいポイントです。
基本的には、化粧水や美容液などで潤いを補ってから、乳液で潤いが逃げるのを防ぐようなお手入れが理想的です。
例えば水分不足で乾燥を感じる肌に乳液だけを使った場合、表面的な乾燥感は治まっても、十分な水分補給をできていないので肌はインナードライの状態になりやすく、必要な保湿ができているとは言えません。また、化粧水には肌を整える役割もあるため、化粧水で整った肌につける方が、乳液がよりなじみやすくなります。摩擦も少なくなり、ムラなくスムーズにつけられることからも、やはり化粧水→乳液とステップを踏むのが理想的。肌状態や使う乳液の特徴にもよりますが、ロート製薬では、基本的には乳液だけのお手入れは控えた方がいいと考えています。
自分に合う乳液を選ぶには、乾燥しているのか、ベタついているのか、ニキビの有無なども含めて、まずは肌質や肌状態を確認してください。
アルコールフリーや低刺激なベース成分(グリセリンやBGなど)で作られ、潤いを補うとともに、バリア機能を強化してくれるような乳液を選びましょう。
例えば、ワセリンやミネラルオイルなどの、肌を保護する油分を含むものや、セラミドやセラミド類似体などの天然保湿因子を補ってくれる成分を配合しているものなどがオススメです。
油分が少なめで、さっぱりしたテクスチャーの乳液がオススメなので、ぜひテスターなどで試して、ベタつきにくい使用感のものを。
ニキビができている場合は、ニキビの炎症を抑えてくれるグリチルリチン酸ジカリウムやトラネキサム酸などが配合されたものを選ぶことも選択肢の一つ。使う際は、ニキビができている部分は塗り過ぎないこともポイントです。
また、常にテカリやベタつきを感じる肌や、10~20代頃の皮脂分泌が十分にある肌は、使用量を少なめに抑えたり、肌状態によっては乳液を使わなくてよい場合もあります。
季節やその時々の肌コンディションに合わせて、心地よく使える使用感で選んでください。
ベタつきやすい夏場は油分が少なくさっぱりしたタイプ、乾燥が気になる冬場は油分多めのこっくりしたテクスチャーのものを。
また、Tゾーンはテカるのに頬やUゾーンはカサつくという場合は、Tゾーンにはさっぱりめ、頬やUゾーンはしっとりめの乳液を、と部分的に使い分けるのも一つの手。季節や部分ごとに使用量を調節したり、乾燥しやすい部分から先に塗るのもオススメです。
多くの方が加齢とともに皮脂分泌が減りがちなので、40代以降の方は、まずは不足しがちな油分をしっかり補えることが基本。その上で、くすみや弾力、ゴワつきなど、気になるお悩みにアプローチする成分(コラプラス、ガゴメエキス、PQQ、レチノール、Q10、アスタキサンチンなど)が配合されているものを選んでください。
選び方がわかったところで、次はより乳液のパワーを実感するために、効果的な塗り方が必須。そこで、ロート製薬のビューティアドバイザーが実践するお手入れ方法をご紹介します。
教えてくれたのは
ビューティーアドバイザー
ロートネーム:ひろみ先生
ビューティーアドバイザー
ロートネーム:さいこ先生
ロートネーム:ひろみ先生
化粧水と比べておざなりにされがちな乳液は、ついお手入れから省かれがちですが、実は知られざる万能アイテム!「無人島に1つだけ持って行くなら?」と聞かれたら、スタッフ全員が迷わず「乳液!」と答えるほど頼れる存在なんです。水分と油分をバランスよく含んでいるので、保湿はもちろん、肌の調子が悪い時には洗顔やクレンジング代わりにも使えたり、化粧水(水分)とクリーム(油分の)の間に乳液をつけることで、クリームをなじませやすくしてくれたり。なにより、化粧水の後にきちんと乳液で仕上げると、肌がふっくらツヤやかに仕上がるのがうれしいところ。化粧のりやメイクの発色もよくなるし、崩れにくくもなるんですよ。
ロートネーム:さいこ先生
せっかく化粧水をつけるなら、そのうるおいを肌に留めることで効果をより高めてくれる乳液を使わないなんてもったいない!多くのスキンケアは、シリーズの化粧水と乳液を重ねて使うことで、よりお手入れ効果が高まるようにと設計されているものです。肌への効果を求めるなら、同じラインの化粧水と乳液のセット使いが断然オススメです。お客様にもよくお話しするのですが、化粧水だけつけて乳液をつけないのは、せっかく作ったお料理をラップもせず放置するようなもの。みずみずしさを失わないためにも、乳液をお使いくださいね。
次にご紹介するのは、私たちが普段から続けている塗り方です。化粧水だけで仕上げた時とは明らかに感触が変わるので、ぜひお試しください!
時間がないときは・・・
急いでいる時や面倒な方は、手に取った乳液を、あご下、頬、額を中心から外へ大きく塗り広げ、ハンドプレスで仕上げてもOKです!
一言アドバイス
特に肌の乾燥が気になる時や丁寧にお手入れしたい時は、+αのお手入れとして、ハンドプレスの前に、使ったコットンを両手で広げて持ち、そのまま頬や目尻にポンポンとのせるようになじませます。その後はコットンを半分に折りたたみ、小鼻の脇をキュッキュッと押さえるようにして保湿しましょう。この時、もしコットンが乾いていたら化粧水を足してくださいね。
今回は、知られざるキホン情報から肌の手応えを高めるビューティーアドバイザーオススメの塗り方まで、“乳液”の魅力をグッと掘り下げてご紹介しました。「必要ない」という思い込みや、面倒だからという理由などで使っていなかった方も、これを機に乳液の魅力に気づいていただき、毎日のお手入れに組み込んでいただけたらうれしいですね。