日本人の4人に1人が発症しているといわれる花粉症は、いわば現代の国民病。一度症状が出ると治りにくいから、適切な対策で少しでも楽に過ごしたいですよね。その対策方法は、お薬はもちろん、目や鼻の洗浄液や花粉を無効化するスプレーまで幅広く充実しているものの、やはり内服薬やマスクに頼る人が多いのが現状。また、花粉症の代表的な症状となる鼻水・鼻づまりには、鼻をかむだけの物理的対処だけで済ませるという人もいるようです。正しく使えば便利で快適な点鼻薬を知らないなんてもったいない!もっと身近に使っていただきたい、とても手軽に症状が抑えられることを知っていただきたい。そこで今回は、点鼻薬の特徴をご紹介します。
この人に聞きました!
ロートネーム:ぐっさん
鼻水・鼻づまりがつらい時には、ひたすら鼻をかみ続けたり、追いつかなくなると、諦めてティッシュを鼻に詰めたり…なんて経験ありませんか?出てくる鼻水の始末に追われるだけでは、鼻が真っ赤になったり肌が荒れたりするばかりで、なかなか症状は治まりません。そこでオススメしたいのは“鼻水が出ないように・鼻が詰まらないように”働きかけるアプローチ方法。それが、鼻に直接ワンプッシュするだけで通りが良くなり、効果が現れやすい点鼻薬なんです。
一般的に“点鼻薬”の認知度はまだ低いようですが、医療現場では、あらゆる鼻炎症状の改善効果が高いお薬として、初期療法で使用されています。特にお悩みの多い花粉症に対する点鼻薬は種類も多く、効き方などの特徴も異なります。そこで、代表的な点鼻薬の種類を以下にまとめました。
血管収縮剤系点鼻薬
鼻の血管を収縮させることで、鼻づまりが起きている鼻粘膜の充血を抑え、鼻の通りをよくします。抗ヒスタミン剤系点鼻薬
抗ヒスタミン薬は、くしゃみ・鼻水に効果を発揮します。効果の持続時間は長くないものの、速効性のある点がメリットです。抗アレルギー系点鼻薬(ケミカルメディエーター遊離抑制薬)
アレルギー反応を引き起こす化学伝達物質ヒスタミンが肥満細胞から出てくるのを抑えることで、炎症やかゆみなどのアレルギー症状を抑えます。おだやかに効果を発揮しますが、十分な効果が出るまでに時間がかかり、効果を実感しにくい場合もあります。ステロイド系点鼻薬
花粉を吸い込んでから数時間が経った後に現れる遅発相反応(鼻づまり)に特に効果的です。1〜2日ほどで効果が現れ、使い続けることにより改善効果が出ると言われています。どれも一長一短がありますが、現在の医療現場において、花粉症治療で処方される点鼻薬は、その安全性の高さと効果から「ステロイド点鼻薬」が主流です。最近では、身近なところで手に入る市販薬でもステロイド点鼻薬が発売されていますので、花粉症などの鼻トラブルでお悩みの方は試してみるのをオススメします。
とは言っても、“点鼻薬って痛そう…”や“ステロイドって何か怖い気がする…”といったお声もちらほら。点鼻薬にはあまり馴染みがなく、なかなか手を出しづらいと感じる方も多いようです。そこで、点鼻薬のメリットや鼻づまりのメカニズムなどについて、皆さんからよく聞かれる3つの疑問にお答えしますね。
症状が気になった時にさすのではなく、ステロイド点鼻薬は1日に1〜2回使うだけ。使い方も、あらかじめ鼻をかんで通りをよくした鼻腔に、軽くノズルを差し込み、シュッと噴霧するだけ、と簡単です。「鼻に液体を入れる」というと痛そうに思われるかもしれませんが、刺激や痛みをやわらげるように処方されたものもあるので、怖がらずに一度お試しいただければと思います。
花粉症の反応には、花粉が体に入るとすぐに現れる「即時相反応」と、約6~10時間後に現れる「遅発相反応」があります。朝、外に出てすぐ「くしゅん!」と出てくるくしゃみや鼻水・鼻づまりが即時相反応。夕方、帰り道に花粉を浴びてから約6~10時間後に、遅発相反応として現れるのが、睡眠時の鼻づまりなのです。
ステロイド点鼻薬は効果の持続性が高いため、特に遅発相反応に効果的なのも特徴で、鼻がつまって眠れないとお悩みの方にはぴったり。しかも、続けて使うことで即時相反応にも作用し、くしゃみ・鼻水・鼻づまり、全てに効果を発揮するのもオススメしたい理由です。
ステロイドは炎症を抑える作用に優れた成分です。昔のステロイドの中には、その高い効果ゆえに、副作用や安全性に問題がある成分もありました。だからこそ、その問題点を解決するために研究が進み、最近の新しいステロイドは、体の余計な部分に影響を及ぼさず、狙った部分だけに効果を発揮するよう進化しています。特にステロイド点鼻薬は、鼻だけに使うため局所性がより高いので、副作用が怖い薬ではなく、鼻水やくしゃみ、鼻づまりにも、より効果的で安全性が高い薬剤として認識されるようになりました。
今回は、使い勝手の良さにも関わらず、一般的にあまり知られていない点鼻薬について、中でも特にオススメしたい“ステロイド点鼻薬”を中心にご紹介しました。朝のくしゃみや鼻水、夜の鼻づまりからも解放されるよう、点鼻薬も上手に取り入れて、花粉の季節もらくに乗り切りましょう!