女性の美容と健康のためにオススメしたいのが、骨盤ケアです。骨盤周りの筋肉が衰えると、さまざまなトラブルが起こる原因となってしまいます。産後には、「尿もれが治まらない・・」「骨盤のゆがみが治らない・・」ということも考えられます。今からケアをして骨盤周りの筋肉を鍛えておけば、将来起こるトラブルを防ぐことができるでしょう。
教えてくれたのは
FTPピラティス教育ディレクター:大本沙樹先生
都内スタジオでレッスンを行う他、海外トレーナーが行う研修の通訳やインストラクター養成、国内のイベントやワークショップの講師、海外でのトレードショーなどのプレゼンターも務める。鍼灸師(国家資格)としても活躍中。
女性にとって骨盤のケアをすることは重要です。なぜなら、骨盤周辺の筋肉が衰えてしまうと、以下のようにさまざまな身体の不調につながると考えられているからです。
このようなトラブルを防ぐために、骨盤ケアをしっかりと行って骨盤周辺の筋肉の衰えを予防しましょう。
骨盤ケアをするなら、トレーニングで骨盤周辺の筋肉を鍛えると良いでしょう。骨盤トレーニングで鍛えられる主な筋肉は、「骨盤低筋群」と「内転筋」のふたつです。それぞれの筋肉の特徴と役割について知っておきましょう。
骨盤低筋群は骨盤の底にある筋肉です。子宮・ぼうこう・直腸などの臓器をハンモックのように支えてくれています。また、骨盤低筋群は排泄のコントロールにも関わっています。尿意をもよおしてもトイレに行くまでガマンできるのは、この筋肉がきちんと機能しているからなのです。
しかし、何らかの原因で骨盤底筋群がゆるんでしまうと尿道のしまりが悪くなり、尿もれが起きてしまうことがあります。骨盤底筋群がゆるむ要因は、分娩や加齢などです。産後に尿もれを経験する女性は少なくありませんが、それは分娩時に骨盤底筋群に大きな負担がかかることが原因といわれています。加齢などによって筋力が弱くなることで、尿もれが始まることもあります。
このようなトラブルは骨盤底筋群が回復することによって治まるものですが、こうして骨盤底筋群の役割について考えると、身体の中で重要な役目を担っていることがわかりますね。
内転筋は、左右の太ももの内側にある、太ももの骨と股関節をつなぐ筋肉で、いわゆる内もものことです。内転筋の役割は、脚を内転させること。開いた脚を閉じるときに使います。内転筋の衰えは、O脚や骨盤のゆがみにつながるため、内転筋もしっかりと鍛えておきたい筋肉です。
では、骨盤周りの筋肉を鍛えていきましょう。最初にご紹介するのは、骨盤の底にある骨盤底筋群を鍛えるためのトレーニングです。誰でも簡単にできる呼吸法のトレーニングなので、ぜひ挑戦してみてくださいね。ヨガマットなどのマットを敷いた状態で行うと良いでしょう。
仰向けに寝たままでできる、負担の軽い呼吸法のトレーニングです。産後すぐの方でもできるトレーニングなのでやってみてください。
1のトレーニングよりも少し負荷を高めたトレーニング。1ができるようになったら、チャレンジしましょう。
呼吸をしつつ骨盤を前に後ろにと揺らすことで、骨盤底筋群を鍛えるトレーニングです。
もうひとつの筋肉、内転筋もしっかりと鍛えましょう。内転筋を鍛えるためにオススメなのは、バックブリッジです。
バックブリッジで、期待できる効果は以下のとおりです。
骨盤底筋群も鍛えられるので、生理痛の緩和や尿もれ予防なども期待できます。
ここでは、背骨をひとつずつ曲げていくものと、背骨をまっすぐにキープしたまま股関節だけを動かすものの2種類のバックブリッジをご紹介します。
これが基本姿勢です。ここから、背骨をひとつずつ動かすトレーニングと、股関節を上げ下げするトレーニングを行っていきます。
パターン1と同様の動きを、背骨をまっすぐにキープした状態で行います。
骨盤底筋群を鍛えるにはもっとも効果が高いといわれているエクササイズです。また、両膝をしめながら行うスクワットは骨盤のゆがみ調整に役立ち、下半身の筋力アップにも効果が期待できますよ。
下半身の複数の筋肉を刺激しながら、骨盤底筋群も鍛えられるエクササイズです。
脚の付け根部分は老廃物が溜まりやすい部分といわれますが、ランジで脚の付け根の筋肉を伸ばすことで、溜まった老廃物を流す効果が期待できます。また、お尻周辺や前太ももの筋肉を鍛えられるので、下半身の引き締めにもオススメです。
1. 両脚は股関節の幅くらいに開き、骨盤は正面に向けたまま、片脚を前に出し、もう一方の脚を後ろに引きます。横から見たときに、かかとの真上に膝がくるように。
身体を下げるときは脚の力で下げるのではなく、身体全部を落とすようなイメージで下げましょう。また、このときに前脚の膝はかかとよりも前に出さないようにするのがコツです。膝が前に出てしまうと前側の太ももの筋肉にしか負荷がかからないだけでなく、膝の筋肉が引っ張られることで痛くなることがあります。
骨盤ケアのためのトレーニングは、できるものから少しずつ、続けて行うことが大切です。骨盤底筋群は内ももの筋肉とつながっているので「何かを挟む」「膝をつける」という行為だけでもトレーニングになります。
今回紹介した骨盤トレーニングのほかに、家事をしながらクッションなどを内ももに挟んで立つ、または膝をつけるように座ることを意識するだけでも良いでしょう。毎日少しずつ、できそうな方法からチャレンジしてみてください。