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2020/09/16

ロート製薬の漢方にかける想い“和漢箋”へのこだわり大公開

漢方と聞いて何を思い浮かべますか。中国の薬で、何に効くのかわからない、難しそう…そんなイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかしそれはあくまでもイメージ。実際は、漢方は日本人に合うよう独自に発展してきた日本の伝統医学で、医療現場でも約9割の医師が日常診療で使用しています。ドラッグストアなどで、どんな症状に効くのかわかりやすく訴求された漢方薬を購入することができます。

ロート製薬が漢方薬を発売したのは2006年、全くの新しい挑戦でした。しかし新しく漢方に挑戦するからこそできたことがあります。それは既存の漢方のイメージに縛られない発想ができたこと。
今回は、ロート製薬の漢方にかける想いを、漢方・生薬ブランド“和漢箋(わかんせん)”立ち上げの時から関わっている開発者に話を聞きました。

みずたにさん

この人に話を聞きました

ロートネーム:みずたにさん

和漢箋ブランド立ち上げ時に研究開発を担当。漢方・生薬のことならなんでも知っているスペシャリスト。

漢方とは一体何なの?

生薬の組み合わせ

漢方は、“生薬”という自然界にある天然の植物や動物や鉱物を原料とし、その生薬を組み合わせてできた薬です。構成する生薬が1種類の場合もありますが、通常は2種類以上を組み合わせて出来ています。生薬の組み合わせにより“処方”ができ、効果が認められた処方には「名称(方剤名)」が定められ、日本の伝統医学として今日まで伝わってきました。例えば肥満症に効く18種類の生薬から構成される「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」や、鼻炎や花粉症などに効く8種類の生薬から構成される「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」などがあります。
漢方において“生薬”はとても重要な原料なのです。

身体のバランスをみる
東洋医学の考え

漢方の考え方を含む東洋医学では、身体全体を見てバランスをとることを重要視しています。西洋医学では臓器や細胞に何かの異常が起きた時に病気になると考え、検査で原因を特定し、異常が起きている局所に的を絞って治療しますが、東洋医学では、検査結果や数値だけではなく、本人の自覚症状を重要視し、全体のバランスを整えるよう治療します。症状に対してピンポイントに治療するだけではなく、身体全体に複合的にアプローチしてバランスをとる事が大切だと考えています。だから生薬も1種類ではなく、処方として構成された数種類の効く生薬一つ一つが合わさって、身体全体に対して効果を発揮するのです。生薬の組み合わせによる、合わせ技の魅力です。なので、西洋薬と比較して効き目が弱そう、長く飲み続けないと効果がなさそうと思われがちですが、そんなことはありません。漢方薬も医薬品なので、適応症状に対してしっかり効果を発揮します。

漢方は、効き目が弱そう、飲み続けなければいけない…というイメージを持たれていましたが、開発者たちはそうではないと知っていました。しかし、東洋医学は“経験医学”とも言われており、長年の経験により効果が認められていることも多く、エビデンスがよくわかっていないこともあります。不思議なことに、効くのだけれど、作用メカニズムがわかっていないこともあるのです。

だから私たちは、ここに目をつけ「効く」ことを証明できるようにしようと試みたのが研究の原点です。内服薬や目薬などの医薬品開発で培った技術を東洋医学に応用できないかと考えました。漢方にもたれているイメージを払拭することで、もっと漢方を魅力的に、そして困った時に西洋薬と同じようにその解決の選択肢になるようにと日々研究を続けました。ロート製薬の漢方で目指すことは、東洋医学と西洋医学の融合。“効く漢方”を証明していく事でした。

HOW TO サイエンス!

(1) 効く生薬の成分を科学する

漢方は複数の生薬から構成されている事が多いため、どの生薬のどの成分に、どのような効果があるのかを知ることが重要です。ロート製薬では、一つ一つの生薬に対し、その処方にとって“効く成分”が何かを研究しています。また効く成分を、安定的に必要量がしっかりと配合できるように規格を定め、管理しています。

(2) 効く処方を科学する

効く生薬が配合されているからといって、他の生薬とまぜあわさった“処方”となった時にもちゃんと効果が出るのかも重要です。相互効果により、効果が減退することもありうると考えたのです。ロート製薬では、生薬個々の効き目だけではなく、処方としての効能効果に対してどのような作用があるのかについても、西洋医学的観点から研究をしています。

ロート製薬のこだわり
開発者の想いをカタチに

生薬の品質管理

実は中国の天津に漢方専門の自社工場があります。漢方の原料となる生薬は、生薬農家で栽培している自然のものであるため、質など、天候や産地によって変動してしまいます。納得のいく生薬を安定して入手するため、生薬や漢方薬を扱う自社工場を所有し、実際に現地の生薬農家に出向き、こだわりの生薬を選定したり、ロート製薬専用の生薬の栽培を行ったりしています。和漢箋のすべての生薬がこの工場で作られているわけではありませんが、ロート製薬では、その他の生薬でも品質管理のために条件を設け、管理をしています。

エキスの抽出方法の管理

漢方を製造する際に、生薬からエキスを抽出する必要があります。このエキスの抽出が非常に重要なポイントになります。料理と同じで、いくらよい素材があっても、切り方や、味付け、調理方法が間違っているとせっかくの料理が台無しになってしまいますよね。漢方も同じで、良い生薬を使っていても、そのエキスの抽出方法が悪いと、成分が台無しになってしまうのです。生薬を刻み、熱水で煮てエキスを抽出するのですが、刻み方や温度、煮る時間、また投入する生薬の順番などでもエキスの品質が変わってしまうことがわかりました。効く成分を生薬からしっかり抽出するためには何が必要なのか、何度も繰り返し研究し、いろいろなパターンを経て最適な条件を見つけ出し、管理をしています。

製造工程における管理

漢方の原料はとても湿気を吸いやすい特徴があります。湿気を吸ってしまうと品質が低下するため、温度や湿度の管理などを徹底管理し製造しています。

漢方の服用しやすさへの挑戦

漢方は、苦くて飲めない…というイメージを持たれている方も多いかもしれません。そんな声に応えるために、ロート製薬では飲みやすさにもこだわっています

角の少ない丸みのある錠剤

錠剤にすることで、しっかり味を感じる前に飲み込むことができます。また、飲み込む時に、喉につかえないように、できるだけ角がないよう、丸みのある錠剤になるよう工夫しています。
また個人差はありますが、生薬の味があまり苦くないものや、顆粒の方が適していると判断した商品に関しては顆粒の場合もありますが、飲みやすさにこだわりを持っています。

添加物をできるだけ少なくする

通常錠剤にする場合には、添加物などで成型できるようにします。通常エキスに対して40〜60%の添加物が必要になることが多いのですが、添加物が増えれば増えるほど1回に飲まなくてはならない錠剤も大きくなるわけです。それは、服用する時に負担がかかると考え、できるだけ添加物を少なくすることに挑戦し、ロート製薬の漢方では約10%まで添加物の割合を少なくすることができました。1回でごくっと飲めるようにすることにこだわっています。

現代人に効く漢方を
追求する

漢方には西洋薬にはないような効能効果があるものもあります。それは、身体全体のバランスを整えるからこそできる技なのかもしれません。漢方・生薬が生まれた過去と現代では、生活習慣やストレスなど現代人を取り巻く環境は大きく変化しています。だからこそ、科学的アプローチを駆使し、一人ひとりに必要な効能を追求していきたいと考えています。和漢箋がめざしているのは「現代に効く漢方・生薬」です。そして症状に悩む人が、自分向けと思ってもらえよう分かりやすく伝えていけたらと思います。

最後に開発者から一言

みずたにさん

ロートネーム:みずたにさん

漢方は何となく効くとか、効き目が穏やかなど思われている方も多いと思いますが、でも漢方は医薬品です。使う場面が合えば、西洋薬の効き目と同じように、シャープに効くのです。まだまだ誤解されることが多い漢方ですが、「こういう時に、こういう風に、しっかり効くよ」ということを証明し、お客様に提供していけたらと思っています。そのために、漢方・生薬を西洋学的にも科学し、解明していけたらと思います。

和漢箋

いかがでしたでしょうか。ロート製薬の漢方・生薬にかける想いと、その想いから生まれたブランド和漢箋は、これからも研究を続け、お客様の悩みに応えていきたいと思います。

・もっと和漢箋について詳しく知りたい方はこちら

1人のメンバーがいいね!と言ってます。
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