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2021/03/24

お客様が使い終わるまで、医薬品グレードの品質を! 品質設計センターの挑戦

私たちが日々使っている商品にはたくさんの工夫がなされています。例えば容器にはいっているクリームは、使っている途中でクリームが固まったり、肌に刺激を感じるようになったり、クリームにカビが生えたりせずにずっと気持ちよく使えますよね。それは実は、商品を作る段階であらゆることを想定し、買った時と同じ状態を保てるように、あらかじめ品質が設計されているからなのです。買ったときはいい商品と感じていても、使い始めたら違うものに変わってしまったら困りますよね。今回は、ロート製薬がとても力を入れている、製品開発の要でもある“こだわり品質”についてのお話です。

ロート製薬の品質は“品質設計センター”にあり!

商品開発がスタートする時、商品企画や製品開発部門はもちろん大きく関わっていますが、同時に、常に“品質”のことを考えている「品質設計センター」という部署が大きな役割をしています。
例えば、医薬品の有効成分は化学物質でできていることが多く、水と一緒になると成分が分解することもあります。ずっと同じ状態を維持するのは非常に難しいことなので、安定して有効成分を保つように設計しなければなりません。いくら効き目が良い処方ができても、1週間後には効き目が消えていたら意味がありません。だからロート製薬では、商品を開発する時に、処方を考えるだけではなく、同時に品質を保証できるものを、と考えているのです。

<品質設計センターの重要なミッション>

ずっと変わらない“安定性”を設計

効き目のある納得のいく処方ができたとしても、それがちゃんとお客様に届き、さらに使い終わるまで、変わらずに効果・品質を保つことが重要です。医薬品では3年間変わらない品質が保てるように設計しています。

ずっと安心して使える“安全性”を設計

使い続けるうちに配合成分が分解され、有害なものが出てきたりしないように設計しています。また、使用するにつれてカビが生えたり、腐ったりしないような工夫も同じタイミングで設計しています。

常に正しい分析ができるよう試験法も設計

品質を保つために分析する試験法は、本当に沢山あります。分析する成分によっても毎回試験法は異なるため、どんな分析方法をすべきか検討し、手順も細かく設定します。また、分析者が誰であっても、常に正しい分析評価ができるように試験法も作っています。この試験法をもとに工場で作られた商品が品質をクリアしているかを確認するので、とても大切なミッションです。

処方決定までに100以上の製剤検討

開発された処方を色々な角度から評価し、様々な試験の関門を経て、最後に一つの処方を決めるのが品質設計センターの役割です。
例えば、12種類の有効成分が配合された目薬の場合、この12種類全ての有効成分量が3年間保たれている必要があります。有効成分量が減ってしまえば、効き目にも、また安全性にも影響があるからです。有効成分量がきちんと3年後にも保たれているか確認する定量評価試験や、pH・菌評価試験など20種類以上の評価試験を実施し、最終的に一つの処方を作るまでに、実に100以上の製剤を分析しています。お客様に安心して使っていただくため、一つでもダメなものがあれば、それは絶対に世の中には出せないからです。

<開発秘話:有効成分が光で壊れる!?>

ロートVアクティブプレミアムは、涙を安定化させる“ビタミンA”が有効成分として配合されています。しかし、ビタミンAはとても光に弱い性質があるため、目薬を持ち歩いているうちに、中のビタミンAが壊れて、有効成分が安定的に保てなくなる危険性がありました。また、製剤に異物が混在していないかどうかを目視できることも重要なので、有効成分を保ち、かつ、透けて見える目薬容器を何パターンも検討し、その都度分析評価を行いました。最終的に、容器の中の製剤は透けて見えるけれど、光の透過によるダメージを与えない最適の容器色を見つけることができました。
本来、医薬品の承認のためには、光による安定性データは必要のないデータですが、ロート製薬では、実際にお客様が使用する場面を想定して、商品に責任を持つために光安定性評価も実施しています。

販売名:Vロートアクティブプレミアム 第2類医薬品
効能・効果:目のかすみ(目やにの多いときなど)、目の疲れ

化粧品にも、医薬品グレード品質のこだわり

ロート製薬は、医薬品だけではなく、医薬部外品、化粧品など多岐にわたる商品を開発しています。だからこそ、“医薬品グレード”を大切にし、化粧品に含まれる重要な成分に関しても医薬品と同じように扱っています。
本来化粧品は、厚生労働省の承認や許可は必要なく、届け出があれば製造することができます。例えばヒアルロン酸を配合した化粧水は、ルール上では、製造段階で、ヒアルロン酸を入れさえすれば、使う時にヒアルロン酸が分解されてなくなっていたとしても問題はありません。でもロート製薬は、お客様に対して常に正直でありたいという思いのもと、 “お客様が使い終わる”まで、しっかり求められている品質が続く状態を大切にしたいと考えています。ルール上は必要ないことでも、お客様のことを考え、必要であることは妥協せず、培ったノウハウと医薬品思想で、品質を設計しています。

<開発秘話:化粧品のピュアビタミンCの品質も維持>

ピュアビタミンCは、美容効果の高い成分として有名ですが、非常に壊れやすい性質があるため、成分が持つ効果を発揮できなくなることもあります。ロート製薬は化粧品に配合するピュアビタミンCはとても重要な成分だと考えているので、お客様がその化粧品を使い終わるまで、きちんとピュアビタミンCが壊れず残っているように、医薬品と同じ基準で品質設計しています。

使い心地、さし心地、味も、品質保証します

実際に使う時の気持ち良さもとても大切だと思うので、効き目だけではなく、使い心地、さし心地、味などの「心地よさ」も含めて商品の品質だと捉え、丁寧に設計しています。
例えば、目薬にはスーッとした清涼感を感じていただくためにメントールという成分が配合されていますが、メントールは目薬容器に入れると容器に吸着する性質があるんです。初めはスーッと気持ちよかったのに、しばらくするとメントールが容器に吸着することで清涼感が弱くなり、さし心地が変わってしまってしまうことにもなりかねないのです。メントール自体は有効成分ではないので、品質が持続するかどうかを測定する必要がない成分なのですが、ロート製薬では“さし心地“もとても大切だと考えているからこそ、お客様が使い終わるまで、心地の良い清涼感が変わらず続くように品質設計しています。

絶対妥協はしたくない!品質設計センターの担当者の想い

お客様に対して誠実でいたい!という気持ちのもと、日々品質設計を行なっているメンバーへこだわりや想いを聞いてきました。

安全性は絶対譲れません

おーちゃん

品質設計センターリーダー ロートネーム:おーちゃん

お客様が安心して使っていただけるように、商品の安全性にはとことんこだわっています。特に医薬品は有効成分が分解してしまうと効果がないだけではなく、何か有害なものが発生してしまう恐れもあります。そんなことが絶対に起こらないように、徹底的に品質設計をするようにしています。

防腐剤は少なくして、防腐力を保つための挑戦

きいちろう

品質設計センターリーダー ロートネーム:きいちろう

商品にカビが生えたら大変なので、基本的に防腐剤は必要なものです。しかし、できるだけ防腐剤を少なくできないか日々挑戦を続けていて、商品によっては工夫をすることで防腐剤フリー化できたものもあります。お客様が気持ちよく、安全に使っていただくために、進化していけたらと思います。

基準内だからOKではなく、常に上を目指す

ちーちゃん

品質設計センターリーダー ロートネーム:ちーちゃん

製剤をずっと100%同じ状態で安定的に保つことはとても難しいことですが、できるだけ100%に近づけるよう日々挑戦しています。法律上、医薬品の有効成分は使用期限内に90%を保持していればOKという基準があったとしても、それで満足するのではなく、お客様のためにもどうしたらもっと100%に近づけるか、という考え方を大切にし、常に向上していきたいと思っています。

いかがでしたか。ロート製薬では、効果だけではなく使い心地も品質だと捉え、医薬品だけでなく、化粧品でも医薬品グレードの品質保証の考え方を忘れずにいます。商品がお客様の手元に届き、使い終わるまでが品質保証だと考え、これからも、気持ちよく安心して使っていただけるよう、研究を続けていきます。

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