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2021/07/28

【ロート社員の海外現地レポート】現地ニーズをつかんだ新発想のロート製品がベトナムで大ヒット!

成長著しく活気あふれる国・ベトナムは、ロート製薬の海外活動における重要な拠点の一つです。25年も前にゼロからビジネスを立ち上げ、自社工場を設立し、独自に新しい商品を生み出す開発・生産体制を確立。今では、日本でおなじみの目薬やスキンケア品だけでなく、バイク社会ならではのお悩みともいえる、やけどや傷の痕を残りにくくするクリームや、頭皮のフケをケアできるヘアケアラインなど、現地のニーズに寄り添いながら、新しい発想で生まれた商品が数多くあります。
そんな中、日本でも人気の「スキンアクア トーンアップUV」が大ヒット!メイクアップ機能も兼ねた新しい日焼け止めとして発売後すぐに注目され、さらに若い女性の間で「インスタ映えする」と瞬く間に話題に。
世界各国のリアルな情報をお届けする海外レポート第4弾は、そのヒットの秘密やベトナムの今を、4年間の駐在経験を通して、現在も現地スタッフと交流を続けるロート社員に聞きました。

ロートネーム:はる

語ってくれたのは、

ロートネーム:はる

女性が元気な活気あふれる国・ベトナムのリアルをレポート

――まずはじめに自己紹介をお願いします。

ロート製薬に入社し、製剤開発(研究職)、商品企画を担当。その後、JICA(青年海外協力隊)に入隊し、偶然割り当てられた赴任先がベトナムでした。活動終了後に一度帰国して、広報部に所属した後、今度はメンソレータムベトナム社に出向という形で4年間ベトナムに赴任し、マーケティング業務に携わりました。今は日本に戻り、海外事業に関わっています。

――ベトナムはどんな国ですか?

ベトナムは東南アジアにある国ですが、周辺の国と比べても、特に日本人と顔立ちや肌の色が似ているように思います。性格的にも真面目で、勤勉で器用なところが似ている反面、日本人よりもはるかにエネルギッシュ!新型コロナウイルスの影響は別として、国そのものが経済成長の真っただ中にあるうえ、国民の平均年齢が31歳と非常に若いことも影響してか、気持ちが前向きで、起業する人もとても多いですね。

※ 日本貿易振興機構(ジェトロ)「ベトナム 教育(Edtech)産業調査(2021年1月)」

また、ベトナムの特徴といえるのが、女性がよく働くこと。赴任当時の生活を振り返っても、私の周りでは、女性が稼ぎ頭という家庭が多く、かかあ殿下なイメージです(笑)。男性の多くはのんびりしているものの、女性をとても大切にしていて、料理や家事も積極的にしてくれるようですね。

――日本にはどんな印象を持っているのでしょうか?

日本製品について安心・安全への信頼度は高いように思います。最近は日本と同じように、ベトナムでも韓国の音楽やドラマなどが流行っていて、エンターテインメントは韓国が人気なのですが、製品については日本のものが好まれますね。

――ベトナムでロート製薬は有名なのですか?

ロート製薬は「Vロート」という目薬を通して、ベトナムの多くの人に知られています。

実はロート製薬がベトナムでビジネスを始めた25年前、現地では気軽に目薬を使う習慣がありませんでした。目薬は目の病気を治す時だけに使われていて、日常では生理食塩水で目を洗っていたそうです。
そこでロート製薬は、ベトナム全国の学校をめぐり、その土地のドクターと協力して、子どもたちに向けた「無料眼科検診」を開催。目の大切さを訴える啓発活動を積極的に行い、“疲れ目に目薬を点す”という新習慣を広めてきました。当時のベトナムでは目薬は高価なものでしたが、自分でケアできる便利さが受け入れられ、目のトラブルに悩む多くの人が購入。一度使うと手放せないと、目薬「Vロート」の人気が高まるとともに、ロート製薬の名前も知られるようになったのです。

ベトナムになかった“化粧水”という新しいスキンケア習慣を提案

――ベトナム人女性には、どんな肌が好まれるのですか?

ベトナム人女性はかなりの美白志向で、日本でいう“色の白いは七難隠す”と同様、白い肌への憧れが強いですね。また、高温多湿なベトナムではニキビのお悩みも多く、きめ細かい肌に憧れる女性は多いです。 そのような理由も重なって、ロート製薬の商品の中でも、ニキビケアの「アクネス」や美白ケアの「肌ラボ白潤」、紫外線対策の「サンプレー」がベトナムでは人気なんですよ。

――ベトナム人女性のスキンケア事情を教えてください。

最近まで、化粧水を使う習慣がなかったことには驚きました。
ベトナムは歴史的背景からフランスやアメリカの影響を大きく受けており、西洋的な習慣から、クリーム一つでスキンケアを済ませるのが一般的だったんです。そのため、2000年初頭の肌ラボ発売当初は全く受け入れられませんでした。
ところがSNSが普及した今では、美容系インフルエンサーの人たちが一般的なステップのスキンケア方法を動画で紹介したこともあって、多くの女性が化粧水や美容液などを使うようになってきました。
そんな時代の波に沿って、肌ラボも地道なプロモーションと商品改良をし続けることで、2015年頃から徐々に認知度が上がり、今ではベトナム人女性に愛されるブランドへと成長しました。

ベトナムの若い女性にマッチした、今注目すべき大ヒット商品!

――「スキンアクア トーンアップUV」が大ヒットしているそうですね。

前にご説明したように、ベトナム人女性にとって白い肌への憧れは強いのですが、そのための対策は、パーカーをかぶってマスクやサングラス、手袋をつけるなど、物理的なガードがメインでした。ところが、近年のSNSの普及につれ、スキンケアやメイクアップへの関心が高まったことで、日焼け止めも多く使われるように。
さらに、最近、日本や韓国で人気の紫やグリーンの化粧下地を使って肌色を整える“トーンアップ系”メイクがベトナムでも話題なのですが、手軽に使える商品は市場にありませんでした。

「ベトナム人女性に必須の日焼け止めで、手軽にトーンアップできれば、きっと多くの人に喜んでいただけるはず」。

そこで注目したのが、日焼け止めクリームにグリーンやラベンダー色で肌色補正効果を持たせた「スキンアクア トーンアップUV」です。まずは日本の商品を輸入販売したところ、「素肌になじんで自然にトーンアップできる!」と大好評。正式にベトナム工場で生産し、販売することになったのです。

<スキンアクアのトーンアップUVの色味と塗り心地をチェック!>

――大ヒットにつながった理由は他にもありますか?

日本の商品より小容量にしたのもポイントです。実はベトナムでは、デパートで売られているような高価格の化粧品を使う人はごく少数。「肌ラボ」や「スキンアクア トーンアップUV」も、ベトナムではプチプライスというわけではありません。そのため、少しでも多くの人に気軽に使っていただけるようにと考えて、手に取りやすい価格で販売したんです。そうしたところ、若い方にもご購入いただくようになり、お客様から次々と「インスタ映えする」、「新しいメイクアップ系の日焼け止め」などとSNSで発信されたことが大ヒットにつながりました。

インスタ映えするベトナムの「スキンアクア トーンアップUV」(引用元:ベトナムサンプレイ Instagram公式アカウント)

ヒット商品を次々と生み出す秘密――“お客様の声”に寄り添う25年

――現地のニーズをどうやって把握しているんですか?

実はロートベトナム社では、ビジネスを立ち上げた時から25年に渡って、週1回のペースでお客様の意見を聞く座談会“カスタマーギャザリング”を続けているんです。さらに、商品を販売するにも、ショールームという形で直営店舗をつくり、販売員が丁寧に商品を説明するのはもちろん、お客様の感想をこまめにお聞きすることも大切にしています。


<カスタマーギャザリングの風景>


<ショッピングセンターに立地するロートベトナム社直営店>

これらのすべては、“お客様がロート製薬の商品を気に入ってくださっているか、その商品を使うことによってハッピーになっているか”を重視しているから。お客様の声によって日本からリップ商品を導入した際には、リップの色をベトナムのトレンドに合わせて変更したり、傷や火傷の痕を残りにくくするクリームを開発するなど、現地のニーズに寄り添った商品がたくさん生まれているんですよ。

――お客様の意見を聞く中で、心がけていたことはありますか?

いつも注意していたのは、知っているつもりにならないことです。当たり前のことなのですが、何年もベトナムで生活しているうちに、いろいろなことが分かったように思えても、ベトナム人にはなれません。例えば、赤いリップを見ても、赤の感じ方が全然違うこともあるのです。また、スキンケアや目薬の習慣は日本よりも遅れていましたが、ベトナムの若い人たちのSNSを活用する力は、日本よりも断然優れています。そのため、偏った思い込みを持っていると、現実を見誤りかねないと感じました。
今はベトナムを離れましたが、違う国の仕事をする際には、その国の背景や現状を理解しながら、常に知る努力を忘れないよう心がけています。

お客様の声を丁寧に聞き、現地のニーズに寄り添いながら新しい商品発想をしてきたからこそたどり着いた、「スキンアクア トーンアップUV」の大ヒット。“お客様がロート製薬の商品を気に入ってくださっているか、その商品を使うことによってハッピーになっているかが大切”という想いは、ロート製薬が未来へ思い描く「人々のさらなるwell-beingにつなげていく」という目標にもつながります。“疲れ目に目薬”という新習慣をベトナムに定着させたように、これからもロート製薬は、国ごとに異なるニーズに向き合い、美や健康に関する文化や習慣をつくるための挑戦を続けていきます。

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